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確かにカッシーラーはとてつもない博識であり、それに基づく考察は、
鋭い洞察力も発揮しているが、それと同時に、博識が必ずしも哲学的な
批判能力を磨くものではなく、むしろ専ら、既に手に入れたものと確信
している理解を補強する役割をすることになるという弱点も露わにして
いる。このことは、「名は体を表す」というコモンセンスに逆行する、
「体は名から派生する」とする、言語論におけるカッシーラーの確信
に典型的に表れている。それは、事物/事象がどのようであるかについて
の抽象的な捉え方は、より具体的に認識される個別の実体の名称に由来
するという考え方である。カッシーラーは、この考え方を、世界各地
の言語に見られる事例を参照しながら論証している。