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朝鮮日報 8月26日(金)11時19分配信
1946年初夏、韓国南東部の釜山からコレラが全国に広がった。
6130人が感染し、半分以上の約3300人が死亡した。隔離病棟がなか
ったため、患者たちは学校の講堂に収容された。猛烈な下痢で脱水
症状が起きても輸液が行われず、ひたすら横になって過ごした。当
時、コレラは「虎列剌」と呼ばれた。トラにかみちぎられるような
苦しい病気という意味だ。感染を恐れた家族たちは会いにこなかっ
た。患者たちは恐怖の中、徹底して見捨てられた。それが70年前の
ことだ。
コレラはギリシャ語で「胆汁が流れる」という意味になる。非常に
深刻な脱水を起こし、皮膚が胆汁のように黒っぽい黄色になるとい
うことから付いた名前だ。16世紀のポルトガルの探検家が、「イン
ドの伝説」という書籍でコレラについて最初に言及した。インドの
カリカット(現在のコーリコード)にいた軍隊で、激しい嘔吐と下
痢を伴う風土病により2万人余りが亡くなったという記録だ。18-
19世紀以降、帝国主義の時代を迎えてコレラは世界に広がり、7回
の大流行を生み数百万人の命を奪った。
1854年、英国人医師のジョン・スノウが描いた地図が感染症防疫の
歴史を変えた。当時、ロンドンではコレラが流行しており、1日に
200人が死亡していた。人々はコレラが「悪い空気」によって広が
ると考えた。スノウは死亡者が出た位置を地図に表示し、コレラの
発生がブロード街に集中しており、そこでは同じ水道ポンプが使わ
れていることを突き止めた。彼は、コレラが汚染された水によって
広がることをロンドン議会に訴えた。その水道ポンプの使用をやめ
ると、すぐにコレラの流行は収まった。
先日、韓国で「国産」コレラの発生が15年ぶりに確認された。この
間は、海外に出かけた人が感染するケースが時おりあっただけだっ
た。患者は韓国南海岸を旅行中、コレラ菌に汚染された海産物を食
べて感染したようだ。猛暑で海水温度が例年より6度も高くなり、
菌の繁殖が盛んになったと分析されている。コレラは米のとぎ汁の
ような下痢を起こし、腐った魚のような悪臭を放つ。予防するには
できるだけ加熱した食品を食べ、手洗いを頻繁にする必要がある。
ワクチンはあるが、免疫効果が低く推奨しない。
体感温度が人の体温を上回る猛暑が続いている。韓半島(朝鮮半島
)がいずれ亜熱帯気候になるという言葉を実感する。気温が上がり
昔の感染症や寄生虫が続々と「帰還」している。蚊やダニ、トコジ
ラミがふ化して成虫になるまでの期間も短くなっている。これらの
虫が媒介する感染症であるデング熱やマラリア、ツツガムシ病の発
生は毎年増えている。食中毒の原因となるサルモネラ菌の感染率は
気温が1度上がるごとに最大で10%上昇する。韓国でのコレラ発生
は、猛暑がもたらす感染症との闘いに気を引き締めろというシグナ
ルなのだ。