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トランプ米大統領は23日に放映されたFOXニュースとのインタビューで、北朝鮮の金正恩総書記に「再び接触するだろう」と語った。トランプ氏は何を狙っているのだろうか。かねて、ノーベル平和賞の受賞に強い意欲を示してきたトランプ氏が狙うのは、米朝国交正常化だろう。
第1次トランプ政権下の2019年2月、ハノイで行われた米朝会談は決裂した。寧辺核施設の放棄と引き換えに制裁の大幅な緩和を求めた金正恩氏に対し、トランプ氏は「寧辺+α」の放棄を要求し、合意はまとまらなかった。
ただ、当時の日米韓の各当局者らの証言によれば、トランプ氏は会談の途中、北朝鮮の提案を受け入れるそぶりも見せていた。慌てたポンペオ国務長官らがトランプ氏を説得し、譲歩をさせなかったという。「強い人間(独裁者)とディールしたい」というのが、トランプ氏が持つ欲望の特徴だ。関係政府の当局者は当時、トランプ氏の心情について「どうして金正恩氏がディールしないのか、理解できないようだ。ディールすれば、平壌にトランプ・タワーを建てられるのにとも思っていた」と語っていた。
一方、金正恩氏もハノイから平壌に戻る列車の中で、「どうにも、トランプの計算法がわからない」と周囲に不満を漏らしていたという。十分に核開発をし、米国を脅したつもりが、合意できなかったからだ。金正恩氏は2021年から国防改革5カ年計画を始めた。開発のメニューは、超大型(多弾頭)の核弾頭、極超音速ミサイル、原子力潜水艦など。いずれも、米国のミサイル防衛システムを打ち破るためのものだ。金正恩氏は昨年末、「米国に超強硬的態度をとる」と語った。今年末に終了する国防改革5カ年計画に集中し、「核のボタン」を可能な限り大きくして、トランプ氏を脅すつもりだ。
米国も慌てている。米ランド研究所スタントン財団のベンジャミン・ヤング核セキュリティーフェローは、北朝鮮に全面的な非核化を求める政策は現実的ではないと指摘する。ヤング氏は「北朝鮮が保有する核兵器の備蓄量を減らし、多弾頭などの開発制限に焦点を当てるべきだ」と語る。これは、トランプ氏が掲げる「米国ファースト」の発想にぴったりだ。「米本土を守るため、すでに北朝鮮が保有している核兵器の一部や中・短距離弾道ミサイルは認めましょう」と言っているに等しい。
■トランプ氏はノーベル平和賞受賞に強い意欲を隠さない
実際、トランプ氏は20日の就任早々、北朝鮮を「核保有国」と呼んだ。韓国などでは「北朝鮮が核を持っている現状を語っただけで、核保有国の地位を認めたわけではない」という楽観的な意見も出ているが、そんなに状況は甘くない。すでに1期目に米朝首脳会談を行い、その都度、ブリーフィングを受けて来た人間の発言だ。意図的だとみるのが自然だろう。
そして、ノーベル平和賞だ。トランプ氏はかつて「安倍晋三首相がノーベル平和賞候補に推薦してくれた」と大喜びで語るなど、受賞に強い意欲を隠さない。北朝鮮を核保有国として認め、米朝間の懸案事項はなくなったとして、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に切り替え、国交正常化を狙うつもりだろう。そのくらい、踏み込んで予想しておかないと、トランプ外交に振り回されることになる。
外務省幹部も「米朝関係が」とは言わないが、「我々が一番恐れているのは、ニクソン・ショックの再来だ」と語る。1971年7月、キッシンジャー米大統領補佐官は極秘に訪中。ニクソン大統領はキッシンジャー氏の帰国後、極秘訪中の事実と大統領自身が近く訪中する考えを発表した。当時の外務省幹部たちは「これが米国のやり口か」と憤慨し、怒り狂っていたという。トランプ氏は独裁者と戦うふりをしながら、最後に手を握る。その相手はプーチン・ロシア大統領かもしれないし、習近平・中国国家主席かもしれないが、金正恩氏の可能性も大いにある。
日本政府は依然、トランプ氏に対して「日本の国益とは何か」を打ち込めていない。日本は北朝鮮とも全くパイプをつくることができていない。このままでは、何の情報も得られずに、突如として米朝に出し抜かれる事態も十分ありうる。北朝鮮が「米国と国交正常化した。日本はどうするんだ」と言ってきたとき、果たして、「核とミサイルと拉致問題などの懸案を解決してから、国交正常化する」と、いつものようなお題目を唱えていられるだろうか。
1/28(火) 8:15 Forbes JAPAN
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