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・八重山日報編集主幹・仲新城誠氏
沖縄は日本の安全保障を左右する要衝だ。だが、沖縄をめぐって全国的に喧伝されている情報は「政府が美しい海を埋め立てて
新基地建設を強行し、沖縄県民を虐げている」という内容が大部分を占める。
これは県紙「沖縄タイムス」「琉球新報」をはじめとする沖縄の主要メディアが発信する報道に基づく。
しかし、同じ沖縄でも、国境の島である八重山諸島から見ると、光景はずいぶん違う。
石垣市の行政区域である尖閣諸島周辺では、「日本の実効支配打破」を公言する中国の艦船が領海侵入を繰り返し、地元漁船を威嚇
している。日本最西端の与那国町は台湾と約110キロの距離しかなく、「台湾有事は日本有事」の不安がいつ的中してもおかしくない。
沖縄本島の米軍基地負担は深刻な問題だが、中国の軍事的脅威を実感する離島住民の声も全国に伝えたい。
私は2013年から夕刊フジで「沖縄が危ない」というタイトルで連載の機会をいただき「離島目線」のリポートを10年以上続けてきた。
改めて気づいたのは、沖縄の政治や言論の異常さだ。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題が「オール沖縄」と
呼ばれる県政によって政争の具にされ、反基地運動がかえって県民の基地負担軽減を妨げている。
政府が辺野古沿岸を埋め立て「新基地建設」を進めているという言説も虚構だ。反基地イデオロギーに染まった沖縄メディアの
巧妙なプロパガンダでしかない。
中国の影が年々不気味に忍び寄る沖縄で、この無法状態が長期化すれば、危機はさらにエスカレートする。
事実、「オール沖縄」県政は10年に及び、懸念は現実のものとなった。
今、中国は尖閣周辺海域で艦船の常駐化と武装強化をいっそう進め、日本は防戦一方だ。
台湾周辺の緊張も激化している。離島住民は武力攻撃に備えた避難訓練や、シェルター整備の取り組みを余儀なくされている。
ところが、「オール沖縄」県政は基地反対を叫ぶばかりで、対応能力を著しく欠く。辺野古移設問題をめぐる最高裁判決の無視、
米国ワシントン事務所の違法運用といった不祥事も続き、統治能力に大きな疑問符がついた。
だが、沖縄主要メディアはいまだに「オール沖縄」礼賛を続ける。
夕刊フジは、沖縄と本土の分断を図る勢力と対峙(たいじ)し、県政や主要メディアに対し「王様は裸だ」と告発してきた硬骨の
報道機関だ。
この大事な時期にその発信が途絶えるのは、沖縄の将来を憂う人に大きな喪失感をもたらす。この国の将来にも損失だ。
私も無念の思いを味わっている。
闘うべき沖縄の歪(ゆが)みはまだまだ残っている。夕刊フジの精神を胸に前進を続けたい。日本のために。
■仲新城誠
夕刊フジ 2025.1/27 06:30
URLリンク(www.zakzak.co.jp)
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