24/11/19 16:35:35.00 ZKY2YYdI.net
韓国経済の大黒柱「サムスン電子」に異変
韓国サムスン電子は、株価が4年強ぶりの安値を付けて5万ウォン(約,5500円)を割り込んだ。11月15日は急遽、今後1年間で10兆ウォン(約1兆1,100億円)相当の自社株買いを行うと発表した。サムスンの株価純資産倍率(PBR)は11月14日、0.9倍と1997年のアジア通貨危機以来の水準まで落ち込んだのだ。
サムスンが、こういう事態になっているのは、韓国経済にとって重大問題である。サムスンは、韓国全体の法人税に占める比率が、なんと約20%(2018年)も占めている巨大企業である。文字通り、韓国経済の砦と言ってもいい位置にある。
サムスンは現在、非メモリー半導体技術の壁に直面しもがき苦しんでいる。汎用品であるメモリー半導体の世界市場では、約40%のシェア(2023年)で1位を維持している。だが、受注品の非メモリー半導体市場では約10%のシェア(2023年)で3位に甘んじている。
この落差は、サムスンが技術で追いつけないことを証明している。結局、メモリー半導体で地盤を守るほかない事態となった。
付加価値の面から言えば、非メモリー半導体が桁違いの高さである。台湾のTSMCが、高収益を上げているのは、この分野で約60%のシェア(2023年)を握っている結果だ。サムスンが、この非メモリー半導体へ足がかりを失えば、韓国経済も大きく揺るがされる局面へ向かうであろう。
サムスンが「転ける」と、韓国は重大な影響を受ける。サムスンが、法人税収に占める高さゆえである。
サムスンの抱える業病
私は、かつて『サムスン崩壊』(2016年、宝島社)を著した。この中で強調したのは次のような点である。
1)サムスンの前身は、貿易商であることでビジネスチャンスへの嗅覚が極めて強い
2)必要な技術を外から導入する経営スタイル。「1人の天才は、10万人の社員を養う」
3)財閥制によるワンマン経営で、社内は指示待ち
日本製造業の沿革をみると、いずれも技術者が国益追求という「公的目的」を掲げて技術開発に取り組んできた。たとえば、日立製作所は国産モーター開発であった。松下電器(パナソニック)は、電気ソケットの開発。ソニーは、テープレコーダーやトランジスター開発というように、いずれも自社技術の開発で事業を拡張させてきた。
サムスンは、貿易商が出自である。何か儲かるものはないかという嗅覚を働かせて、日本の三洋電機(パナソニックへ吸収)の下請けになり製造業を始めた。この延長で、半導体の存在を知り、日本から技術者を「高額アルバイト」で雇い、半導体技術を身につけたという経緯だ。日本企業と正式な技術導入契約を結んだものではない。法的には、「技術窃取」である。
サムスンは、この「違法ビジネス」で成功して巨万の富を積むことになった。サムスンが現在、技術の壁に突き当たっているのは、製造業でありながら「貿易商感覚」が抜けきらないことにある。自社技術開発にエネルギーを使わないのだ。日本からメモリー半導体技術を学んでも、もう一段上の非メモリー半導体技術に手を出さなかった。メモリー半導体技術だけで収益的に満足して、非メモリー半導体技術には興味を示さなかったのであろう。
必要な技術は、外部から導入すればいいという発想は、貿易商的アイデアである。技術を「仕入れる」という感覚なのだ。1人の天才は、10万人の社員を養うと豪語していた。これは、1人の優秀な技術者がいれば、一般社員は「ボンクラ」でいいという意味にも受け取れる。
こうして、「指示待ち社員」を増やすことになった。財閥のワンマン経営を支える社内組織ができあがったのだ。
サムスンは現在、「前例踏襲主義」に足をすくわれている。絶えず、規範となる経営モデルを外部に求めるのだ。サムスンは、メモリー半導体と家電モデルを日本に求めた。非メモリー半導体は、台湾のTSMCとされる。自らが「サムスン・モデル」をつくり挙げる努力をしなかった。これこそ、貿易商の「仕入れ感覚」を余すところなく示している。
サムスンは、時代遅れの財閥制度にしがみ付いている。経営者には身分安泰だが、韓国経済にとって非合理的な経営組織である。出資と経営の分離が、近代経営の基本であるのだ。財閥制度は、出資と経営を分離せず一体化させている。韓国が、法的にも財閥制度を認めているのは、独立後の経済不安定時代を乗り切る一時的な便宜性に従ったものであろう。こうした中で、現代自動車は外国人社長を登用した。新しい動きが始まっている。
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勝又壽良
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