24/11/17 17:59:21.14 qoVazbuS.net
23年前のサムスン電子の報告書が示唆する教訓【コラム】
半世紀にわたって世界の半導体産業を支配してきたインテルが、ついに公式的に「半導体の代表株」の座から転落した。米国の代表的な株価指数「ダウ平均株価」の銘柄から外れ、その座をエヌビディアに譲ったのだ。インテルと共に30年近く世界の半導体市場を牛耳ってきたサムスン電子も、危機からなかなか脱出できない状態が続いている。専門家らは両社が競争力を失った原因について、技術よりもコスト削減を重視した経営戦略や、数十年間1位の座に居続けたことによる組織文化の緩みなど、数々の共通点を挙げている。さまざまな原因が指摘されるが、最大の原因は、ここ2年の間に突然訪れたAI(人工知能)時代という環境の急変に適応できなかったという点だ。
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両社はこのような時代の到来を予測できなかったのだろうか。少なくともサムスンは20年前、現在の状況を予測していたとみられる。サムスン電子が世界一の半導体企業という地位を固め始めた23年前、サムスングループのシンクタンクだったサムスン経済研究所は「半導体産業」という報告書を作成した。この報告書は「これからは一瞬の方針と戦略の過ちによって生死が分かれる時代が到来する」と強調している。まるで方針と戦略を見誤ったせいでAI競争から脱落したインテルとサムスン電子の現状を予測したような文章だ。
インテルはパソコンとサーバー用のCPU(中央演算処理装置)市場で着実に成長を続けてきたが、モバイルのように急速に成長する市場への対応を怠った。遅れてモバイルプロセッサーと通信用半導体事業に参入したが、クアルコムをはじめとするライバル会社に追従できず、事業の中断あるいは外部への売却を選ばざるを得なかった。インテルがかつてエヌビディアとオープンAIの買収機会を逃していたことも後に明らかになった。
23年前の報告書では、半導体の競争力確保のために何が必要なのかという点にも言及していた。報告書では「これまで半導体産業における主要な競争力が先行技術を基盤とする大規模生産能力だったとすれば、今後は顧客の求めるものを迅速に供給できる能力へと徐々に変わっていくだろう」とした上で「設計技術力、システム応用力、ソフトウエア開発力がより強調されるだろう」と指摘した。AIアクセラレーター(AIの計算処理を高速化するために設計されたハードウエア)にとって必要不可欠なチップである高帯域幅メモリー(HBM)の登場を暗示しているかのようだ。HBMは顧客企業の要請に合わせて最適化する作業が必須となる。サムスンがHBM競争から脱落したことを巡っては、ライバル企業との争いよりも、顧客企業との緊密なコミュニケーションができなかったことが原因だとされている。
今やインテルもサムスンも、もはや「1位」と呼ぶのが恥ずかしい状況に置かれている。今からでも技術中心の経営に立ち返って体制を立て直さなければ、AIのリーダー企業との差が広がるばかりか、猛追する中国にも追い越されかねない。23年前の報告書が指摘していたように、もはや生き残りが懸かった問題だ。
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