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ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、訪問先のハンガリーの首都ブダペストで記者会見し、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州で、北朝鮮兵がウクライナ軍との戦闘に参加し、死傷者を出したと述べた。
これに先立ち、米紙ニューヨーク・タイムズは5日、米当局者の話として、クルスク州でウクライナ軍と北朝鮮兵が初交戦し「かなりの数」の北朝鮮兵が死亡したと報じていた。ただ、ゼレンスキー氏も死傷者の人数は明らかにしていない。
金正恩総書記は自国兵士が無駄死にする前に部隊を撤収すべきだが、世の関心の一部が「北朝鮮軍はウクライナ軍に対しどの程度、戦えるのか」に向いているのは事実だろう。
旧聞に属する話にはなるが、米国の軍事専門メディアであるミリタリー・ドット・コムは2017年7月14日、「世界の軍隊ワースト10」と題した記事を掲載。その中で北朝鮮の軍隊を第3位に挙げている。
この記事がワースト1位としたのは、中米のコスタリカだ。といっても、同国は1949年に憲法で常設軍を廃止しており、警察と治安部隊を除けば軍事力を持たない。単純な軍事力比較なら、こうした結論が出るのは当たり前と言える。
ワースト2位は、腐敗しきったイラク軍だ。米英などが大金を投じて強化に取り組んできたにもかかわらず、この軍隊は大した兵力を持っていないと指摘している。一時は国土を武装勢力「イスラム国(IS)」に席巻されてしまった。
もっとも、イラク軍はISとの戦闘を経て強化された可能性もあり、この分析が出た当時と同じ状況にあるとは限らない。
そして、北朝鮮である。この記事が北朝鮮をワースト3に選んだ理由は、早い話が「見かけ倒し」であるということだった。外国向けの宣伝映像には丈夫そうな体格の兵士、立派な装備、十分な食料が供給されているが、実際にはヘナヘナで、訓練よりは建設作業ばかりしていると指摘している。
この指摘はそのとおりで、今も大きく変化してはいない。北朝鮮軍の兵力は120万人とも言われるが、その多くは農作業や建設作業ばかりしているのだ。
ウクライナ戦争に派兵されたのは特殊部隊だとされているが、北朝鮮軍の兵力のうち実戦に耐えうるのは一部に限られ、その中の相当部分を特殊部隊が占めているとも言われる。つまり、北朝鮮の特殊部隊は、諸外国の一般正規兵とせいぜい同等である可能性があるのだ。
さらに、軍隊内での飢餓や人権侵害の蔓延もあり、兵役忌避も深刻だという。
ある意味、金正恩氏はそうした現状を認識しているからこそ、核兵器開発に「オールイン」したのかもしれない。
もっとも、北朝鮮軍がウクライナ軍との戦いで実戦経験を積んでいけば、状況は変わり得る。核武装した金正恩氏が、優秀な通常戦力まで手にしたら目も当てられない。国際社会は必ず、北朝鮮軍をロシアからの撤収に追い込むべきだ。
デイリーNK 2024年11月09日
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