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世界各地からボーイスカウトやガールスカウトら約4万3千人が集まり、韓国南西部の全羅北道(チョルラブクト)セマングムで開催中のキャンプの祭典「世界スカウトジャンボリー」で、熱中症の症状を訴える参加者が数百人に上り、英国や米国の参加者が大挙撤収する事態となった。
猛暑対策などについてのずさんな準備実態が次々明らかになり、国内からも「国際的な恥だ」との批判が噴出した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は国家の威信を懸けて巨額の政府予備費や大量の人員を投入し、事態の収拾に乗り出した。
会場となったのは広大な干拓地で日よけとなる樹木はほとんどない。1日の開幕前まで降った大雨で至る所に水たまりができ、連日35度前後の最高気温を記録する中、テントを張って参加者が寝泊まりする会場は蒸し風呂状態となった。熱中症の症状を訴える人は最初の3日間だけで500人を超えた。大量の蚊も発生し、虫刺されで炎症を起こす患者も続出した。
トイレが不衛生▽シートで仕切ったシャワー施設は外から丸見え▽支給された食材にカビが生えていた-といった苦情も後を絶たず、欧米メディアが連日報道。世界スカウト連盟は4日、日程の短縮を勧告し、約4500人と最多人数を派遣した英国は5日、ホテルへの撤収を始めた。約1200人が参加する米国は宿泊地を米軍基地に移すことを決め、シンガポールも撤収を決めた。
尹大統領は小学生時代にスカウトを経験し、2日には参加者を前に「スカウトの経験は人生の大きな力になった」とあいさつした。思い入れもあり、夏季休暇中にもかかわらず、冷房が効いたバスや冷水を供給する車両を「無制限に支援するよう」命じるなど、政府の本格介入を指示した。
セマングムへの誘致は文在寅(ムン・ジェイン)前政権時代の2017年に決まった。文政権が開発に力を入れた前政権の地盤地域で、開催地の選定過程にも批判の矛先が向けられている。
緊急対応を指揮する韓悳洙(ハン・ドクス)首相は5日、「まだ十分とは思わない。参加者が完全に満足できるときまで一層努力する」と強調。政府は別の地域で文化体験などができるよう支援する方針で、12日の閉幕までに汚名を返上できるか注目される。(ソウル 桜井紀雄)
産経新聞 2023/8/6 08:00
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