20/10/21 20:35:12.07 CAP_USER.net
小説家チョ・ジョンネ氏の親日派発言が物議を醸している。日本留学した人は全て親日派なのか、でなければそのうち土着倭寇と呼ばれる一部だけ親日派なのか、文法まで問題になっている。
しかし、彼の発言で注目すべきは親日派の資格ではなく、親日派清算の目的だと思う。氏は反民特委を復活して150万親日派を断罪しなければならない理由が「民族精気」のためと言った。民族精気とは何だろうか。
民族正気の辞書の定義は「一つの民族の共通意志として正しく大きな気風」だ。「精気」は古い言葉だが「民族」と結合したのは古くない。民族主義が勃興した近代の産物だ。私たちの歴史では日帝強制占領期間に該当する。
民族精気の元祖は遠くに求める必要がない。他でもない「ヤマト タマシイ(大和魂)」だ。大和魂は日本の近代化の時期、伝統精神を基に西欧文物を受け入れるという意味の和魂洋才から出た。西欧化を推進しながらも固有のアイデンティティを守ろうとする折衷論で中国では中体西用、朝鮮では東道西器になった。ここまでは良い。
大和魂は軍国主義と結合して暴走し始めた。天皇に対する忠誠と武に対する崇拝を基に西欧列強に相対して戦うことが日本固有の精神という主張に達した。それは自国民に犠牲を強要し他民族を排斥する全体主義的理念だった。日本はこのスローガンで近代化に成功した。
中国と朝鮮の知識人も自国民の団結のためにこのようなスローガンが必要だと見た。1899年、梁啓超は先に「中国魂」を唱え、これに刺激されたチェ・ソクハが1906年「朝鮮魂」を提唱した。死んだ人の霊魂を意味する魂という単語はこの時から民族固有の精神に概念が変わり始めた。
パク・ウンシクは「国魂」、ムン・イルピョンは「朝鮮心」とし、チョン・インボは魂（ホン）を韓国語に変えて「オル（魂）」といった。大和魂の異議対抗論理だがその我流という印象が濃い。そのためか朝鮮魂はこっそりと「民族精気」に差し替えられた。大和魂の異議の様々な名前の一つが「大正気」という点を考慮すればこれもまたそれほど独創的な発想ではない。
民族精気という概念は1941年、臨時政府の大韓民国建国綱領に公式採択された。以後親日派清算を後押しする論理に使われたこともあるが反共の論理にも利用された。共産主義が民族精気を脅かすという論理だった。
生まれが軍国主義のスローガンだったせいなか、民族精気が本格的に使われ始めたのは軍事独裁期だ。特に朴正煕（パク・チョンヒ）が民族精気を愛用した。彼は初めての大統領就任の辞で「5月革命で腐敗と不正を排撃することによって民族の精気を取り戻し、今日ここに威厳ある新しい共和国を建設した」と自画自賛した。
南山（ナムサン）安重根（アン・ジュングン）記念館には今でも「民族の精気の殿堂」というパク・チョンヒ揮毫を刻んだ碑石が残っている。国民教育憲章に「先祖の光る魂」が登場するのもパク・チョンヒの格別な民族精気愛と関係なくはないだろう。
民族精気は全体主義の残滓だ。実体のない幻影だ。国家のために個人を犠牲にし、理念のために人間を抑圧する名分だ。しかし、人々の血を沸かせる強力なスローガンでもある。解放と分断、独裁を経験した人ならばより一層抜け出し難い。
もう八十近いチョ・ジョンネ作家も例外ではない。私が彼の小説に魅力を感じたのは左右の理念を越えてこの土地で生きて息をする人々の姿を写実的に描き出してきたからだった。ところが作家の意図はそうでなかったようだ。生きて息をする人150万を犠牲にしても追求しなければならない理念の存在を信じるようだ。50年の作家人生は実体のない幻影を追う過程だったのか。
チャン・ユスン檀国（タングク）大東洋学研究院研究教授
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[出処] -国民日報(韓国語)[ちょうちん]民族の精気という幻影
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