17/10/20 07:57:55.94 CAP_USER.net
14日、麻生副総理は岐阜県羽島市の街頭演説で、以下のように発言されたようです。
何が起きるかわからない。起こってからじゃ遅い。しかも今回の場合は、大量の難民が来ることを覚悟しなきゃならない。難民をどこへ収容するか。その人たちは不法難民。武器を携帯してるかもしれない。テロになるかもしれない。その時に我々はきちんと対応できる政府を持っておかねばならん。
以前にも「難民が大挙して押し寄せてきてテロを起こす危険性」について述べられたそうですが、その発言に信ぴょう性はあるのでしょうか?
以前に書いたブログ「朝鮮半島有事で日本に大量に『難民』が流入するの?」と「『武装難民』は射殺してもいいの?」と重なる部分もありますが、発言の真偽について再確認しておきましょう。
1)大量の難民が日本に来るの?
以前のブログにも書いた通り、朝鮮有事の際に大量の難民は日本には来ません。北朝鮮の人々にとって最も魅力的な避難先は、言語的・文化的・歴史的背景や親族関係も近い韓国です。
北朝鮮出身者は、韓国に逃れたら原則的に韓国籍を与えられることになっていますし、既に韓国政府は非常に手厚い支援パッケージを脱北者に提供しています。非武装地帯(いわゆる38度線)を越えられない場合でも、北朝鮮と地続きの中国やロシア経由で韓国入りを目指すでしょう。
恐らく唯一、命がけでも舟で日本に渡りたい方々は、日本人拉致被害者の方々、「北朝鮮帰還事業」で北朝鮮に渡った方々、その子孫の方々でしょう。
その方々は(元)日本人ですので、就籍を支援する、あるいは「日本人の配偶者等」や「定住者」の在留資格を付与するのが筋ですし、日本国全体として帰還を温かく迎えるのが当然でしょう。万が一自衛のために武器を携行していたとしても、誤っても「射殺」などしてはいけません。
今年1月に韓国の軍事専門家が、北朝鮮人民の階級や所得、居住地域、船の所有の可能性などの細かいデータを分析した結果、朝鮮有事の際にわざわざ海を渡って北朝鮮から日本を目指す人は、3600人程度に留まるだろうとの見込みを発表しています。
3600人を「大量」と呼ぶのが相応しいか分かりませんが、その程度であれば、万が一全員を一時的に「収容する」必要が出たとしても、既存の入管施設で対応できる範囲内です。
2)難民を「収容」しないといけないの?
難民には(庇護申請中も含めて)基本的に「移動の自由」が認められています(難民条約第26条)。命からがら逃れて来た人を十把一絡げに「強制収容」するのは、そのような国際法上の原則や憲法第34条から見ても、明らかに違法です。
少なくとも金正恩体制が続いている限りは「迫害のおそれ」がありますので、身元確認が終わり次第、一時庇護上陸(入管法第18条2)を許可して、速やかに「宿泊施設」に移送すべきです。
実際、日本には1970年代後半から1990年代にかけて計13000人を超えるボートピープルが辿り着きましたが、いわゆる「収容」ではなく、移動の自由が確保されている「宿泊施設」が提供されていました。日本政府にも民間団体にも、その時に得た豊富な知見がありますので、それを生かせばよいのです。
ただし実際問題として、しばらく収容しなければならない「庇護申請者」(「難民であること」を確認中の人)や不法入国者も出てくるでしょう。人数的には極めて少数のはずですが、北朝鮮からの流入民の中に金正日体制の幹部やいわゆる「工作員」と呼ばれる人が混ざっている可能性も、仮想上は全くゼロではありません。
そのような人々の中に、「平和に対する犯罪」「戦争犯罪」「人道に対する犯罪」あるいは「国連の目的や原則に反する行為」などを行った人がいれば、そもそも「難民」の定義に当てはまりません(難民条約第1条F)。
また「工作員」などで、日本の安全にとって危険人物であることが判明した場合には、(有事の間は物理的に難しいと思いますが、「拷問のおそれ」がなくなれば北朝鮮に)追放・送還して良いことになっています(難民条約第33条2項と拷問禁止条約第3条)。
URLリンク(www.huffingtonpost.jp)
(>>2以降に続く)