17/06/22 12:15:07.85 CAP_USER.net
5月中旬、国際社会が圧力を強める中で北朝鮮は新型の弾道ミサイル発射実験を強行した。北朝鮮は「レッドライン」を本当に越えてしまうのか世界が緊迫する一方、すぐ隣の韓国の国防がおかしなことになっている。有事の際に最前線を担う韓国軍の緊張感は薄れ、風紀が乱れているというのだ。何が起きているのか。在日韓国人ジャーナリストのコナー・カン氏が追った。
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憲法裁判所で朴槿恵大統領(当時)の罷免が決定された3月10日、韓国のテレビ局「チャンネルA」は次のニュースを配信した。
〈憲政史上初めて大統領が罷免され、国家安全保障にも空白が生じるのではないかと懸念されている。その渦中で、現役の将軍が買春容疑で軍の捜査当局の調査を受けていることが確認された〉
報道によると、捜査対象となったのは防衛事業庁所属の准将。2016年6月初め、慶尚南道泗川にあるモーテルで、ある出張マッサージ業者を利用した。
ところがこの業者は、マッサージと称して売春を行っていた。後日、取り締まりのために警察が業者を捜査したところ、准将が利用し、対価として15万ウォンを支払っていたことが発覚。その金額が一般的なマッサージ料金の約3倍だったことから、売買春の疑いあり、と判断されたという。
准将が取り調べで「マッサージは受けたが性行為はしていない」と容疑を否認したことから、韓国世論に火が点いた。
それ以前から、韓国軍のスキャンダルは枚挙に暇がない。セウォル号事件のあった2014年には、軍幹部による部下の女性のレイプ、軍内での集団リンチ殺人、イジメ、収賄事件が相次いで発覚。昨年から今年にかけても、軍の情報機関・機務司令部所属の40代少佐が1200回余りの売春斡旋を行った容疑で逮捕されたり、陸軍士官学校の生徒複数が買春を行ったとして退学処分となるなど不祥事が頻発している。
そして今年3月、大統領罷免という国家の一大事と時を同じくして発覚した軍幹部の買春疑惑。その呆れた「言い訳」に、国民の怒りは頂点に達した。
◆チョコパイ180個の食拷問
韓国軍への国民の視線は、近年、特に厳しくなっている。徴兵制により、成年男子には2年程度の兵役義務があり、男性の多くが軍隊経験をすることはよく知られているが、彼らが体験する軍の内情があまりにも酷いからだ。
配属される部隊には職業軍人である将校クラスが上官として君臨しており、徴兵された若い兵士は不遇に喘ぐという。経験者たちに話を聞いた。
「兵役期間中、部隊内にある体育館や運動場の見張りだけをやらされる者もいる。そんな仕事で2~3年も若い貴重な時間を使うのはあまりにも非合理的だ。はっきり言って、徴兵された若者は将校たちのパシリや下っ端でしかない」(30代の兵役経験者)
「職業軍人である将校たちが、兵役中の若い兵士の中から勉強のできる頭の良い兵士を呼びつけ、自分の子供の家庭教師を頻繁にさせていた。謝礼を渡していた人もいたが、週末にタダ働きさせる将校も少なくない」(別の兵役経験者・30代)
部隊内でのイジメも深刻だ。今年1月中旬、韓国の国家人権委員会の調査で発覚したケースでは、先輩兵士が新兵に「チョコパイ」を大量に食べさせた行為が明らかになった。2日間でチョコパイ180個を食べさせる「食拷問」が行われたという。実は、大食いを強要するこの種のイジメは“伝統”と化しており、各部隊で受け継がれている。
「チョコパイのほかに、ラーメンを大食いさせる部隊もあった。でも、一番つらいのは水。進級するたびに、先輩から水2リットルを一気飲みさせられた。2リットルは本当に苦しい。すぐに吐く人もいたし、その場では飲めたとしても、気分が悪くなり夜は眠れなくなる」(20代の兵役経験者)
2014年には京畿道抱川の陸軍部隊で1人の兵士をターゲットにしたイジメがエスカレートし、集団で体を抑え込んで、性器を弄ぶ事件が起きた。
●こなー・かん/大阪出身の在日韓国人2世。韓国に語学留学後、執筆活動に従事。日韓に横たわる歴史問題をはじめ、文化、社会問題など幅広く取材。
※SAPIO2017年7月号
URLリンク(www.news-postseven.com)
2017.06.22 07:00