17/04/03 13:35:57.16 CAP_USER.net
こじれた日韓関係を解きほぐす糸口はあるのか。韓国の政治外交に詳しい奥薗秀樹・静岡県立大大学院准教授に聞いた。
一昨年末の従軍慰安婦問題を巡る日韓合意で、韓国はソウルの日本大使館前の少女像について「適切に解決されるよう努力する」と約束した。しかし、実際は撤去されず、釜山の日本総領事館前にも新たな像が設置された。政府同士の約束が韓国の国内事情で守られないことに、親韓派の日本人までが違和感を抱いている。かなり深刻な事態だ。
合意時の朴槿恵(パククネ)大統領が罷免され、朴氏の政策を全て否定したい気持ちは分かるが、国際的な合意までほごにするのは無責任と言わざるを得ない。韓国側は合意の重みを理解すべきだ。
解決の鍵を握るのは当事者の思いだ。元慰安婦の7割超が日韓合意を受け入れる意思を表明した。私が話を聞いた複数の元慰安婦は「日本政府にもっとストレートに謝ってほしいけど、両政府が決めたんだから受け入れる」と話した。「私たちの存在が引っ掛かって、両国関係がいつまでもうまくいかないのは心苦しい」という人もいた。
韓国では元慰安婦本人の意思と関係なく、子や孫が日本からの支援金を受け取っているという指摘もあるが、それは一部にすぎない。葛藤の末に合意を受け入れた元慰安婦の決断を重く受け止めないといけない。
一方で、日本政府は支援金の原資となる10億円を拠出し「合意は全て履行した。ボールは韓国にある」という姿勢だが、これでは前に進まない。合意を前提として、他に何ができるか考える必要がある。
1995年に設立されたアジア女性基金(2007年解散)の償い金には歴代首相の「おわびの手紙」が添えられた。これと同じ範囲の内容で構わないから、安倍晋三首相も元慰安婦に手紙を出してはどうか。国会や記者会見で合意への思いを自分の言葉で語ってもいい。そうすれば韓国の雰囲気も変わるはずだ。日本の保守層の反発を抑えられる安倍首相にしかできないことだ。
韓国の次期大統領選の候補者たちは、合意破棄や再協議を日本に求める構えだが、それは非現実的だ。日本側が受け入れる可能性はない。選挙で得票を伸ばすために強硬姿勢を取るのではなく、慰安婦問題を解決して日本と将来どう連携していくかを語るべきだ。
問題が放置され、元慰安婦が全員亡くなってしまうのが最悪のシナリオだ。日本も韓国も政治が責任を果たしたことにならない。両政府は当事者本位の現実的な対応を取るべきだ。
=2017/04/03付 西日本新聞朝刊=
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