16/07/16 01:26:21.18 CAP_USER.net
2016年5月24日「ヘイトスピーチ解消法」が国会で成立、6月3日に施行された。
同法の成立を受けて、5月30日、川崎市は在日コリアンの排外を訴える
「ヘイトスピーチ・デモ」が使用予定の公園2カ所(同市川崎区)の使用禁止を決定。
6月2日、横浜地裁川崎支部は同デモが川崎市川崎区にある社会福祉法人ビルから
半径500メートルに近づかないよう通告する仮処分を下す。
同法施行後の6月5日、ハンドルネーム「五十六パパ」なる
ネット右翼(ネット上で右派的、排外的言説を標榜(ひょうぼう)するもの)主導で、
川崎市で予定されていた「日本浄化デモ」は、許可が下りなかった川崎区の公園ではなく、
やや北上した中原区の公園付近で実施を試みた。
結局、ヘイトデモに反対するいわゆる「カウンター」の人々と、
警察・公安関係者が集結し騒然とした状況になり、主催者側が警察に中止を申し入れ、
最終的には開催されることなく終わった。
筆者は、「ヘイト解消法」の立法自体は評価する。が、しかし熾烈(しれつ)に盛り上がっていた
「ヘイトデモ」最盛期からみると、現在はほとんど、「ヘイトデモ」は実行されなくなった。
その理由は第一に、民主党政権が2012年12月で終えんを迎え、
保守政権である第2次安倍晋三内閣が総選挙の結果により誕生(同月)したことによる主敵の喪失である。
「ヘイト解消法」施行のはるか以前から、警察や公安、あるいは裁判所は、
「ヘイトデモ」の解消や撲滅に向けて、事実上の圧力を加えていた状況にある。そ
このような流れの最後に出てきたのが冒頭の「ヘイト解消法」であり、
実質的には「ヘイトデモ」にとどめを刺した格好だ。
一方、排外的な傾向を有するネットユーザーの多くは、これまでも、
そしてこれからも実際の街路での「デモ」に参加しないサイレント・マジョリティーである。
「ヘイト解消法」で「ヘイトデモ」はかなりの部分、根絶されると思うが、
元来、「ヘイトデモ」に参加する人々はレイシスト的ユーザーの全体から考えてもわずかであることを考えると、
「ヘイトデモ」につながる問題の根源は「ヘイト解消法」では払拭(ふっしょく)されていないとみるべきだろう。
「ヘイト」を生むのは、ネット上の動画とSNS、ブログである。そこには事実に基づかないデマとトンデモ理論がうごめいている。
「朝鮮人は戦後、日本人を数百万人殺した」「マスメディアは在日コリアンが牛耳っている」
「芸能人、政治家の○○は在日コリアン」等々のデマである。ここから、「ヘイト」が常に発生する。
「ヘイト」のふるさとは、特にネット動画だ。これに対する対策も、近年進みつつある。『ニコニコ動画』を運営するドワンゴは、
前述の在特会の公式アカウントを削除する措置をとった。
あるいはYouTubeは、いわれなき嫌韓・反韓動画を投稿する特定の右派系 “ユーチューバー” への
広告料の支払いを事実上停止する措置をとった。一歩一歩だが、確実に「根拠なきデマとヘイト」は勢いを失いつつある。
「ヘイトデモ」は衰退しているが、それを生み出す「ゆりかご」たる粗悪なネット言論へのさらなる制裁強化が、次なる課題であろう。
特に右派系ユーチューバーは潜在的差別意識の温床となっており、デモには加担しないまでも、
「ヘイトデモ」参加への潜在予備軍を作り出している。これに対する包囲網は狭まっているが、より一層の対策が必要だ。
2020年、東京五輪に合わせて多数の外国人観光客が来日し、観光立国を目指す日本の国策に照らし合わせても、
このようないわれなきヘイトスピーチに加担するあらゆる勢力は日本の国益を害する存在だ。
彼らには、法に基づいた制裁措置で鉄槌(てっつい)を下すべきである。(2016年7月4日 記)
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