16/07/09 06:22:09.73 CAP_USER.net
2016年07月09日00時40分 (更新 07月09日 01時24分)
【ソウル曽山茂志】米国と韓国が、核実験や弾道ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮に対する軍事防衛の強化に踏み出した。8日、在韓米軍への配備を決めた最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」。自国への監視強化を懸念する中国やロシアの強い反対を覚悟の上で、高精度レーダーを備えたTHAADの配備を韓国が受け入れたことで、「日米韓」対「中ロ」という東西冷戦期のような対立構図が生まれ、東アジアの緊張が高まる恐れがある。
韓国への配備構想が浮上して2年。中国への配慮などから滞っていた協議を動かしたのは、北朝鮮の新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」(射程2500~4千キロ)の発射成功だ。
6月22日に発射されたミサイルは高度千キロを超え、大気圏に再突入して400キロ先の目標水域に正確に着弾した。4月以降、失敗続きだったムスダンを「欠陥ミサイル」と評価していた韓国政府も「改良が進んだ可能性がある」として、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を招集。この時、THAAD配備の機運が高まったとみられる。
核弾頭を搭載できるムスダンは、グアムと沖縄の米軍基地を射程に入れる。朝鮮半島有事の際、在韓米軍を後方支援する両基地を守るには、「現在の韓国のミサイル防衛システムでは限界がある」(聯合ニュース)と判断したもようだ。
だが、配備は韓国にとって「もろ刃の剣」になる恐れがある。韓国では、蜜月を演じていた中韓関係に亀裂が入り、「中国が非関税障壁を設けて、韓国に経済的な揺さぶりをかけるのではないか」(聯合ニュース)との懸念が浮上。中国も協調している国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の足並みが乱れる、との見方も出ている。
何よりTHAAD配備によって、「中国と米国の間でバランスを取ってきた」(日韓外交筋)韓国が安全保障の軸足を米国に移したと受け止められ、中国やロシアが東アジア一帯の軍事力を強化する可能性がある。それでも日韓外交筋は「北朝鮮の軍事脅威に対する韓国内の不安は無視できないレベルになっていた」と指摘。最後は「国益という観点だけで朴槿恵(パク・クネ)大統領が(配備を)決断した」(大統領府関係者)という。
=2016/07/09付 西日本新聞朝刊=
URLリンク(www.nishinippon.co.jp)