16/04/15 06:43:36.21 CAP_USER.net
■静まり返る街角に隠れる衝突の歴史
一般的な住宅街における「路地」に相当するであろう場所に足を踏み入れてみると、やはりというか
周囲はしんと静まり返っており、人々が生活している気配があまり感じられない。
また、老朽化が進む家屋には、『特攻』『喧嘩上等』といった煽情的な落書きが並ぶが、
それを修復しようと試みた痕跡も確認できなかった。この集落で暮らす人々が今なお一定数いるであろうことは
頭で理解していても、感覚的に伝わってくるのは、ゴーストタウンや廃村のそれに近い。
URLリンク(tocana.jp)
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別のある建物の場合は、崩落しかかっている木造部と、それを補うように打ち付けられているトタンが実に印象的だ。
その壁面には写真をそのまま貼り付けたと思しきコンパネ状の板が立てかけられているが、すでにその板は
建物の一部と化している感も否めず、またそこに掲示されている写真は、既に雨露によって色褪せていた。
崩落の危険を感じさせる古いブロック塀も、実にアンバランスなバランスを保ち続けることで、
かろうじてその形を維持しているようだ。
なお、同地区内にある公共施設のような雰囲気の建物には、『エルファ』という名前がつけられているようで、
『2F 南山城同胞生活綜合センター』『1F デイサービスエルファ分室・ハナマタン南京都』という文字が
確認できることから、ある種の出張所のような役割を果たしていると推測されるが、具体的にどのような形で
運営されているのかなどは判然としない。
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こうした、どこかゴーストタウンのような静けさが漂う同地区であるが、実はその歴史をひもとくと、
何度か転機が訪れたことがあった。戦後、企業の合併などにより、この地区の土地所有権を手に入れた
日産車体工機は1987年、この地区の自治会長を自称する人物に3億円という破格値で売却したのである。
これにより、同地区は、住民らにとって安住の地になるかに思われたのだ。しかしその後、あろうことか
この人物は別の企業相手にこの土地を転売。問題が明るみになる頃には当事者は姿を消し、以後、
勝手に土地を転がされてしまった住民と、所有権を手に入れた企業側との間に、立ち退き問題が
勃発してしまうこととなった。
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しかもこの問題は後年まで続き、土地の権利が相次いで移転するという前代未聞の事態へと発展。
今なお権利関係が複雑に絡み合う状態が続いている。こうした状況を示すかのように、現在もなお、
この地区の南側に隣接している自衛隊大久保駐屯地との境目に立つフェンスには、ハングル文字で
何かメッセージのようなものも書かれているが、無論、外部からの訪問者であるわれわれには、
その文意すらわからない。
ただそこにあるのは、鉛色の空の下に横たわる、しんと静まり返った独特の空気だけである。