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【佐藤優の地球を斬る】関係改善の意欲ないロシアには冷淡な対応を
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前回に続き、中東情勢の構造変化について書く予定だったが、北方領土問題で大きな変化があったので
今回はこの問題について検討する。中東については、次回に回す。
近未来に北方領土交渉が進展する可能性は皆無になった。なぜなら、ロシア外務省で北方領土交渉を
直接担当する責任者が挑発的発言をしているからだ。
「70年前に解決済み」
< 【モスクワ=遠藤良介】ロシアのモルグロフ外務次官は2日、インタファクス通信に対し、日本との北方領土
問題に関する対話は行わない考えを示した。平和条約締結交渉を継続する用意はあるものの、領土問題
については「70年前に解決済みだ」と述べた。プーチン露大統領が3日、北京での抗日戦争勝利記念行事
に出席するのに合わせ、日本を強く牽制する狙いがありそうだ。/モルグロフ氏はこの中で、「クリール諸島(千
島列島と北方領土)の問題」に関しては「日本といかなる対話もしていない」と発言。北方四島は「第二次
大戦の結果として合法的にわが国に移った」とし、「ロシアの主権には疑いの余地がない」と主張した。/平和
条約交渉については「建設的に継続する用意がある」としたものの、「日露関係全般」を広く発展させる中
で、「相互に受け入れ可能な解決策」を模索すべきだと述べた。/日露間では、領土問題を解決して平和
条約を締結する方針が確認されている。ただ、ラブロフ外相が「日本は大戦の結果を認めない唯一の国だ」
と語るなど、ここにきてロシア側は対日姿勢を硬化させている。 >(9月3日「産経ニュース」)
モルグロフ次官は、「根室半島と歯舞群島の間に国境線を画定する、すなわち北方四島がロシア領である
ことを日本が認めるならば平和条約を締結してもよい」という高圧的姿勢で日本に臨んでいる。ロシア外務
省の消極的姿勢を突破する力はプーチン大統領にしかない。しかし、プーチンは中国を訪問する途上、シベ
リアのチタに立ち寄ってこんなことをしている。
<ロシアのプーチン大統領は2日、東シベリア・ザバイカル地方のチタを訪れ、第二次大戦の犠牲者の記念
碑に献花した。/ロシア極東のシベリアではこの日、第二次大戦終結70年を祝う事実上の対日戦勝記念
式典が行われ、軍人や各種兵器によるパレードが実施された。シベリアで行われた式典に国家元首が参加
するのは初めてとみられる。プーチン氏はパレードには出席しなかったが、献花をすることで住民の愛国心を
鼓舞する狙いがあったとみられる。/現地報道によると、プーチン氏は地元住民らと握手を交わし、住民らは
涙を浮かべていたという。>(9月2日「産経ニュース」)
歴史認識、中国と協調
ロシアは、2010年に東京湾の米戦艦ミズーリ号の上で日本が降伏文書に署名した9月2日を「第2次世界
大戦終結の日」に定め、毎年、シベリアや極東の各地で記念式典を開いている。しかし、これまでプーチン
大統領は、この記念行事に参加したことはなかった。今回、日本のシベリア出兵の舞台となったチタで、軍事
パレードの観閲は行わなかったとはいえ、対日戦争記念行事に参加することで、プーチン大統領は、第二次
世界大戦をめぐる歴史認識について中国と歩調を合わせた。この事実は、プーチンは対日関係改善の意欲
をなくしつつあることを示すものだ。
日本政府は、対露外交戦略を見直す必要がある。ロシア側が北方領土交渉に関するハードルを上げてき
たのは明白だ。このような状況で、プーチン大統領の訪日準備はできないという意思を安倍政権は明確に
示すべきと思う。ロシアが強硬な姿勢を取っているときは、日本もそれに冷淡な姿勢で応じればいい。プーチ
ン大統領が年内に日本を訪れなくても、天が落ちてくるわけではない。(SANKEI EXPRESS)