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>>1のつづき
■本当の舞台は外相会談、外交攻勢で後塵
世界遺産登録をめぐっては、意見陳述で、国際法上も「強制労働」を指す「forced labor」を用いようとした
韓国側を、ギリギリで日本側と同じ「forced to work」の表現に押しとどめさせた交渉の舞台裏が大きく報道
された。
この外交努力は評価できるが、肝心の「forced」の文言は、いったいいつ浮上し、双方で合意したのか。
産経新聞のこれまでの取材では、日韓外相会談や事務レベルなど6月21、22両日の協議で合意したとされる。
つまり、尾を引くことになる文言は、登録直前の土壇場で急に取り交わされたわけではなかった。「世界遺産登録
での協力」をうたい、友好ムードを演出した外相会談前後には、既に決まっていたことになる。
韓国政府は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が5月20日に国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長と会談し、
登録への反対を伝えたほか、世界遺産委員会の委員長国ドイツをはじめとした委員国に対し、国を挙げた外交
攻勢を仕掛けてきた。
結果、諮問機関のイコモスが日本側に「各施設の歴史全体を理解できるような計画」の追加を勧告することに
なる。韓国側が求める「戦時中の歴史を盛り込め」と通告したことに等しい。
委員長国ドイツのべーマー議長は登録決定後、「外交の勝利だ」と祝福し、日韓の仲介に「かなり以前から取り
組んできた」と明かしている。ドイツも韓国側の再々の訴えに突き動かされた構図が見て取れる。
この間、日本政府は「産業革命遺産は1850年代から1910年を対象にしており、韓国側が主張する戦時徴用
とは時代が異なる」との言い分を繰り返すばかりだった。外交戦略面では、韓国の後塵(こうじん)を拝したと受け
とめられても仕方がない。
■世論突き上げ、瀬戸際だった韓国政府
一方で、日韓国交正常化50年に合わせた外相会談当時、世論に押され、瀬戸際に立たされていたのは、むしろ
韓国政府の方だった。
日本との関係冷却化は、経済問題に直結し、日韓2国間の首脳会談さえ開かれないのは、「外交的な無策だ」
と国内世論から突き上げられ、かといって世界遺産問題で「強制性」の主張を譲れないという進退窮まった立場に
追い込まれていた。
「慰安婦問題は日本の左派から持ち出されたことで、韓国世論にも火がつき、ほとほと困っている」と、是が非でも
慰安婦募集での「強制性」を認めるよう日本政府に泣きついてきた河野談話が出された当時の韓国政府の状況
と重なる。
そして、今回も「forced」という日韓双方が国内向けには、都合よく解釈できる用語によって玉虫色の決着が図ら
れた。国交正常化50年という節目を優先し、韓国との間で何度も繰り返されてきた言葉の上だけの譲歩を取った
ことになる。
歴史問題をめぐって、「これで最後だ」との韓国政府の口約束の下、妥協を図り、韓国で政権が変わるたびに蒸し
返されてきた日韓外交上の教訓を忘れたのだろうか。
外交は、どちらかが完勝を目指すものではなく、妥協がなせる技だという鉄則は十分理解できる。ただ、あいまいな
文言を使うにせよ、「先方がいかに解釈しようが、こちらの主張はこうだ」と国内を説得できての上の妥協でもある。
身内の自民党内からも「forced」を使っておきながら「強制」ではないとの言い切るには無理があると言われるようで
は、外交上の失策というほかない。
(つづく)