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■「国民情緒法」って何?
韓国で存在するといわれる国民情緒法は、一言でいえば、裁判官・裁判所が法解釈を超越
して世論に迎合する判決を下す事態を意味します。
もちろん、実際に、韓国に国民情緒法という法律が制定されているわけではありません。
韓国の裁判所において、社会の関心が高い事案について、裁判官が世論感情(の多数派)に
沿った結論を下すために、実定法(国会で制定された法律や憲法)の正しい解釈からすると
相当無理がある結論を判決で導くことがあります。
法解釈の正しさよりも世論(国民の感情・情緒)を重視することから、それを批判する立場から、
韓国には国民情緒法が存在する、という批評がなされます。
≪中略≫
■「国民情緒法」が適用された例はある?
韓国の裁判所が判決を下すときには、当然、「国民情緒法を適用した」とは書きません。
したがって、明確に国民情緒法の影響を受けた事案というものは確定できません。
ただ、戦前の日本企業による韓国人徴用賠償や産経新聞ソウル支局長の名誉棄損裁判では、
日本側に不利な判断がなされており、国民感情を考慮したのではないかと批評されることも
多いです。
他方、逆にセウォル号の事件では、乗客を救助しなかった船長に対し死刑を適用すべきとの
世論が多数でしたが、不作為による殺人罪で検察官が死刑を求刑したにもかかわらず、
厳密に法解釈を行って殺人罪の死刑の適用は回避するなど、常に国民の感情論だけで裁判
が行われているわけでもないようです。
なお、世界各国の独裁国家では、司法権の独立がなく権力者の意思(人の支配)によって判決
が下されることも珍しくないので、韓国の「国民情緒法」による裁判だけが特異というわけでも
ありません。
残念ながら、世界的にみれば、きちんとした司法権の独立により、公正・公平な裁判が実施され
ている国の方がむしろ少数派というのが現状です。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、
中国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)
ソース:シェアしたくなる法律相談所 5月26日 21時37分
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