15/12/01 20:31:34.63 miTELiTj.net
>>6
韓国映画のいわゆるPeriod Dramaに属する作品には時代の切り取り方が
面白いものがあるね。
たとえば、「大統領の理髪師」は李承晩が不正選挙で下野して表舞台から
消えるところから始まって、暗殺された朴正熙の葬儀がラストなので、
束の間だった第二共和国と長く続いた朴正熙の独裁政権時代が描かれている。
そして、なぜか主要キャストふたりが共通の「愛してる、マルスンさん」は、
朴正熙暗殺の新聞記事から始まって、光州事件を経て全斗煥が全権を
掌握する頃が舞台になる。
両作品とも、束の間の解放がその後暗転するわけだが、こうした実際の
歴史の経験が韓国人の懐疑的な性格に関連しているのじゃないだろうか。
「ペパーミントキャンディー」の主人公は、朴正熙の死の年には
若い工場労働者。光州事件では軍人として治安維持活動に参加して
民間人を誤射し自身も足に負傷を負う。全斗煥政権下では
刑事として民主化活動家を逮捕・拷問。その後、家具屋で儲けて愛人を囲い、
アジア通貨危機で破産して自殺する。
映画は時間を逆順に遡るのを走る列車の逆回転映像でシンボリックに描く。
列車が通過する分岐点と韓国社会が選んだ道の正否とをだぶらせる手法は
ちょっと単純すぎるくらいわかりやすいが、この映画を観ただけで韓国の
近代史をおさらいした気分になるくらい印象的な事象が選ばれている。
「チング」のように個人史的なものもあるし、話題のスエの出ている「夏物語」のような
比較的短い期間の出来事を描いているものもあるけど、ひととおり整理してみるのも
面白いかもね。