22/01/15 12:59:59.40 .net
「根雪」
私には付き合っていた彼がいました。彼と出会ったのは単なる偶然だった。
だけど私は、あなたとの出会いは神様がくれた運命だったと今でも思っている。
彼は優しくて、いつも私のわがままを聞いてくれた。
ところが、ある日、突然、「君には悪いが、別れてほしい」と彼から
別れを切り出された。彼に理由を聞いても何も答えてくれない。
私は何が何だか、わからないながらも、意地を張って「分かった」と言ってしまった。
彼との別れを、全く頭で整理できないまま、毎日泣き続ける日々を過ごしていた。
私がわがままを言ったからなの? ・・・ でも、あまりにも突然すぎる。
あんなに仲良くしてくれていたのに ・・・ 嫌われてしまったと、
悔やんでも、悔やんでも、悔やみきれない...
それでも振られた手前、連絡をすることも出来ずに過ごした半年後、
また彼から連絡が来た。
「どうしている? 元気?」
「もう新しい彼氏がいるから平気。 元気にしているよ」
「...そっか...」
つかなくていい嘘をついてしまった...。
今も、ずっと、あなたを思っているのにと、何故そう言えなかったのだろう・・・
それから間もなくして、彼の友達から彼が亡くなったことを知らされることになる。
彼は余命半年の癌だった。
別れを切り出された頃に癌が見つかり、その後、闘病生活に入っていたことを知る。
彼が私の事を想って別れたのだと、やっと理解できるようになった。
どうして私に教えてくれなかったのだろう...
その日はあふれる涙が止まらなかった...
- あれから三週間が経った ーーーーーーーーー
今、街ですれ違った人が、あなたと同じ匂いを漂わせていた。
それだけで、どうしてもあなたのことを鮮明に思い出してしまう。
この世界は、あまりにもあなたのことを思い出させるものが多すぎる。
- 今でも彼とよく聴いた古い歌が街に流れると彼のことを思い出す・・・
- 降り積もった雪が解けずに地面を覆っている。
そこに深々と粉雪が舞い落ちてくる。そんな雪の中を私は歩いていた。
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