22/01/13 11:39:06.47 .net
「粉雪は忘れ薬」
- 風が冷たいプラットホーム...。
もうすぐしたら電車がやってくる。
電車を待つのは、私を含めて親子連れなど8人ほど。
空を見上げると、粉雪が舞っている。儚いくらいの雪の結晶。。。
- 粉雪が舞い落ちてゆく。 。 。 。 。 。 。。。
親子連れの幼い子供たちが「ゆきだ! ゆきだぁ~!!」と燥いでいた。
その小さな手のひらに包まれる。子供たちが、それを私の方に差し出した。
「ねぇ、おねえさん! みて! ゆきだよ!!」 私は「どれ、見せて」
でも、覗いてみても、そこにあるのはただの水。
「ああ...とけちゃった!」と肩を落とし、ガッカリする子供たち。
せっかく捕まえたのにと、呟きながら水になったそれを見つめている。
ふと、その子が顔を上げた。「ねぇ、おねえさん!」
「なぁに?」急に話しかけられ、慌ててニッコリと笑顔を作る。
ちょっと、わざとらしくなってしまったかもしれない。
無理やり作った笑顔も、その子の無邪気な表情を見れば、自然と心から笑えてくる。
この駅から、私の新たな一日が始まる。
そう思うと、この見慣れた風景が、なんだか新鮮に感じられる。
少し前に、売店で買った缶コーヒーは、その温かみまだ保っていた。
握ったその温かみが、私の心をそっと慰める。
覚えておこうとしないのに、何かのはずみで、思い出しては泣ける。
忘れなけりゃならないことを、忘れながら人は生きている。
―― すべての物事には意味があるのかもしれない ――
ー 空を見上げると、まだ、粉雪は降り続けている 。。。
...ほんのわずかな雲の隙間から、小さな光が顔を覗かせている...
。。。 降り続く、粉雪を見つめながら私は電車に乗った 。。。
。。。粉雪はすべてを忘れさせてくれる。。。