民俗学・神話学板雑談スレat MIN民俗学・神話学板雑談スレ - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト150:天之御名無主 10/11/21 04:31:26 .net しかし、私は奇妙な事にすぐに気がついた。 その集落に降りる道が無い。 あたりにはどう見てもこの道一本しか無い。しかし、この道と集落を結ぶ道路がどこにも無いのだ。 とにかく、この道がどこに通じているのか確かめなくては行けない。 ガソリンの件もあり、私は車を降りて林の中に分け入りその村を目指した。 しかし、灌木に行く手を遮られ、近くまでは行けたものの、遂に辿りつけずに引き返さざるを得なかった。 だが、私は一目でその集落が部落である事は解っていた。 私が小さいころまで、私の町の一部にも彼らの家が残っていた。石を重しにしたトタンの屋根、 穴だらけの木の壁、手入れされていないゴミだらけの庭、舗装されていない水たまりのある道路。 そして、何故か共通する、生活感はあるのに全く見えない人影。 大声で呼びかけても、その家から誰かが出てくる事は無かった。 いくら迷ったとはいえ、自分の生活している地域だ。大まかな場所は解る。 こんな場所に部落があったのか、と妙に冷静になりあきらめて車を再び走らせた。 やがて、首藤様の塚と書かれた5連の石塚があらわれた。小さなこんもりとした森が道の正面にどんとあり、 道はその森を囲むようにぐるりと廻っていた。九州ではよくある円墳の名残だ。 それを気に徐々に人里の気配が近づいてきた。 道は再び舗装され、ふっと広い所に出た時、突然、そこには昔ながらの田園風景が広がっていた。 私のその時の気持ちをどう表現するべきか。 私は車を止め、一件の豪農らしき家に入った。家の側には深い小川が流れ、魚影が豊富に見えた。 恐らくウグイだろう。そう思いつつ、深い庭を入って家のチャイムを鳴らした。 ・・・・返事は無い。再び鳴らした。やはり誰も出てこない。留守か。 隣の家に行った。隣といっても随分と遠い。そこも留守だった。 私は再び頬のあたりに泡立つものを感じ始めていた。おかしい。人が・・・いない。 見た所綺麗な村だ。手入れの行き届いた田畠、立派な構えの家々、トラクターや電気もある。 しかし、どこを尋ねても人っ子一人、いない。 聞き耳を立てても、鳥の声しか聞こえない。 私は直感的に身の危険を感じ、恐怖でふわふわと実在感のなくなった地面を無理矢理蹴るようにして車に駆け戻った。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch