26/07/16 08:07:42.82 0.net
いまはもうチラ婆は、ダラどころではなく、シャキでした。いいえ、断じてチラ婆はシャキってなどいなかったのです。
一瞬間といえども、シャキった事は無いんです。けれども、ああ、シャキは、たいてい自分の事をそう言うものだそうです。
つまり、このじゃんがり庵にいれられた者はシャキ、いれられなかった者は、ダラという事になるようです。
ラーに問う。無抵抗は罪なりや?
爺のあの不思議な美しい微笑にチラ婆は泣き、判断も抵抗も忘れて自動車に乗り、そうしてここに連れて来られて、シャキという事になりました。いまに、ここから出ても、チラ婆はやっぱりシャキという刻印を額に打たれる事でしょう。
チラ婆、失格。
もはや、チラ婆は、完全に、チラ婆で無くなりました。
いまはチラ婆には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
チラ婆がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「チラ裏」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
チラ婆はことし、四十七になります。白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、六十以上に見られます。
チラ婆失格 完