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韓国提案、日本は乗らず 元徴用工問題「賠償応じれば、後に穴埋め」
2020年10月31日 5時00分
元徴用工への賠償を日本企業に命じた韓国大法院(最高裁)判決をめぐり、
韓国政府が「企業が賠償に応じれば、後に韓国政府が全額を穴埋めする」との案を
非公式に日本政府に打診していたことがわかった。日本政府は1965年の
日韓請求権協定で賠償問題は解決済みとの立場から、提案に乗らなかった。
2年前の判決を機に悪化した日韓関係は、改善の見通しが立たない状況が続いている。
日韓両政府の関係者によると、韓国大統領府は今年に入り、日本との関係改善に
向けて、盧英敏(ノヨンミン)大統領秘書室長を中心に徴用工問題の解決案を検討。
大法院判決を尊重するとの文在寅(ムンジェイン)大統領の意向を踏まえ、
今春に穴埋め案を打診したが、日本政府側は「企業の支出が補填(ほてん)されても、
判決の履行には変わりなく、応じられない」と回答した。
大法院は2018年10月30日に日本製鉄(旧新日鉄住金)に原告の元徴用工らへの
賠償を命じた。同年11月には三菱重工業にも同様の命令を出したが、
両社は支払いに応じていない。韓国の裁判所は、両社が韓国内に保有する株式や
特許権などを差し押さえ、売却して賠償にあてる「現金化」の手続きを進めている。
日韓請求権協定で解決済みとの原則を崩さない日本政府は「大法院判決は国際法違反」
とし、韓国側に日本が受け入れ可能な解決策を示すように求めてきた。
日本政府は「現金化となれば深刻な状況を招く」(茂木敏充外相)と繰り返す。
安易に韓国側の提案を受け入れれば、前例となって
同様の訴訟を次々に起こされかねないとの懸念もある。