19/06/19 21:53:47.70 EyacbVkl.net
P15
度(弁護士法71条)もほぼ同様の考え方に基づく。)。懲戒請求は,弁護士活動に対する批判のための手段として設けられた制度ではないし,
弁護士活動に対する苦情申立制度でもない(弁護士会の苦情相談窓口などで責任をもって対処されるべきものである。)。特に,前者について
いえば,もとより不当な弁護士活動が批判の対象となると同時に懲戒事由に該当することはあり得,その場合は懲戒請求は当然妨げられること
はないが,しかし,そのことは,懲戒請求が弁護士活動を批判するための制度であるということを意味するものではないのである。更に,ある
弁護士につき品位を失うべき非行などの懲戒事由が認められるのに弁護士会が懲戒権限を正しく行使しないというような場合,弁護士会の懲戒
制度の運用は不当であり,これについても世論などによって厳しく批判されてしかるべきであろう(所属弁護士会の懲戒しないとの結論に不服
な懲戒請求者は,日弁連綱紀委員会に異議を申し出て,その審査を受けることができ(弁護士法64条),更にそこでその結論が維持されたこ
とで不服な場合は,非法曹のみによって構成される綱紀審査会に審査請求をすることができる(同法64条の3)。)。だがそのことと懲戒請
求を行うこととは別であって,懲戒事由の存否は冷静かつ客観的に判定されるべき性質のものである以上,弁護士会の懲戒制度の運用や結論に
不満があるからといって,衆を恃んで懲戒請求を行って数の圧力を手段として弁護士会の姿勢を改めさせようとするのであれば,それはやはり
制度の利用として正しくないというべきである。(3)これに関連して,ある刑事弁護活動が懲戒事由に該当するということを理由として懲戒請
求がなされる場合についていえば,特にそれが多数なされる場合の影響は少なくない。一般に,被疑者,被告人の犯したとされる犯罪の凶悪性,
残忍性が広く報道されたような場合,弁護人は厳しい目にさらされる一方で,時には
83:マンセー名無しさん
19/06/19 21:54:53.69 EyacbVkl.net
P16
真実を明らかにし,被告人の人権を擁護するために,被害者や遺族の被害感情を逆なでせざるを得ないような局面にさえなる。そのような状況
の下で,多数の懲戒請求が一斉になされた場合,対象弁護士は,一種の精神的圧迫を与えられることにもなり得る。その懲戒請求が不当なもの
である場合,被疑者,被告人の人権擁護という使命感の下に献身的に刑事弁護活動に取り組んでいる弁護士を,故なく苦しい立場に追い込み,
これを萎縮させるおそれさえなしとしない。多数の懲戒請求によってある弁護活動を一定の方向に誘導しようとする一種の社会的勢力ないし
は政治的勢力によって懲戒請求がなされた場合も,弁護活動を著しく抑圧するおそれがあろう(懲戒請求のそのような利用は,むしろ国家権力
の干渉よりも大きな脅威になるおそれさえなしとしない。)。繰り返し述べるまでもなく,刑事弁護活動についても遠慮なく批判がなされて
しかるべきである。懲戒事由に該当すると判定することも軽率であるかどうかは別にして自由であろう。それによって批判的風潮が助長された
としても,弁護人としては耐えなければならない面もあろう(守秘義務があるので,しばしば反論するわけにもゆかない。)。この意味におい
て,刑事弁護活動の領域も,外部からの批判に対して決して「聖域」というようなものではない。だがしかし,憲法の基本的人権の規定のうち
の多くのものが刑事手続に関するものであるのも,その中にわざわざ弁護人選任権が規定されているのも,すべて被疑者,被告人(少数者)の
人権が国家権力に侵されやすいという歴史的経験的事実に根ざすものである。そして,弁護士自治やその中核的内容ともいうべき自律的懲戒制
度も,国家権力や多数勢力の不当な圧力を排して被疑者,被告人についての自由な弁護活動を弁護人に保障することに重大な意義がある。
それなのに,多数の懲戒請求でそれが脅威にさらされてし
84:マンセー名無しさん
19/06/19 21:59:30.16 EyacbVkl.net
P17
まうのであっては,自律的懲戒制度の正しい目的が失われてしまうことにもなりかねない。このように考えると,少なくとも刑事弁護活動の当
否については,単なる論評を超えて懲戒請求まで行うことは,その特質に照らし,やはりある種の節度が求められるということができ(前記
の弁護士会による懲戒請求の推奨も巷間多発されることで憂慮される一種定型的な弁護士の非違行為を念頭においてなされているとみられるの
であって,弁護士活動の根幹に触れ,さまざまな議論が予想されるような問題についてまで広く推奨するものとは思われない。),したがって,
その懲戒請求は極めて安直になし得るものであるという考え方を前提としてこれを勧奨するようなことも慎重であるべきで,いわんやそれを多
数人に向かって行うようなことは,それが直ちに懲戒制度の趣旨を逸脱した違法な行為とはいえないとしても,極力慎重であるべきであろう。
特に,第1審被告は弁護士であって,専門家として,上記の自律的懲戒制度の元来の趣旨や懲戒請求が刑事弁護活動の当否につき多数なされた
場合の由々しき影響などを慮るべき立場にあったのだから,懲戒請求の勧奨をテレビで不特定多数の視聴者に向かって行うようなことは差し控
えるべきであったというべきである。
(4)ところが,第1審被告は,本件弁護活動に関する重要な情報を有しないままに,高視聴率のテレビ番組における視聴者に向かって,「何万
何十万っていう形で」とか,「1万2万とか10万とか,この番組見てる人が」懲戒請求かけたら「弁護士会のほうとしても処分出さないわけ
にはいかないですよ」などと述べて,懲戒請求は安直になし得,かつ,あたかも多数の懲戒請求がなされれば弁護士会によって懲戒処分が
なされるものと受け取られかねない外観を呈する発言をもって,
85:マンセー名無しさん
19/06/19 22:02:45.86 EyacbVkl.net
P18
一斉に弁護士会に懲戒請求することを呼び掛けたのである。(5)以上よりすると,本件テレビ番組が,放談形式でのもので,気楽な面があり,
その内容が重視される程度はより小さいとの性格を有していることを考慮しても,本件呼び掛け行為は,不適切さを免れない。3一方,第1
審原告らが被った被侵害利益について検討するに,それは,法廷意見が述べるように必ずしも甚大なものとまではいえず,また,所属弁護士
会によって,本件発言後10か月以内の時期に懲戒しない旨の決定がなされているから,その精神的苦痛も既に相当程度に回復されていると
もいえる。加うるに,弁護士は裁判手続に関わって司法作用についての業務を行うなど,その職務の多くが公共性を帯有し,また,弁護士会
も社会公共的役割を担うことが求められている公的団体であるところ,主権者たる国民が,弁護士,弁護士会を信認して弁護士自治を負託し,
その業務の独占を認め(弁護士法72条),自律的懲戒権限を付与しているものである以上,弁護士,弁護士会は,その活動について不断に
批判を受け,それに対し説明をし続けなければならない立場にあるともいえよう。懲戒制度の運用に関連していえば,前記のとおり,弁護士
会による懲戒権限の適正な行使のために広く何人にも懲戒請求が認められ,そのことでそれは国民の監視を受けるのだから,弁護士,弁護士
会は,時に感情的,あるいは,無理解と思われる弁護活動批判ないしはその延長としての懲戒請求ないしはその勧奨行為があった場合でも,
それに対して,一つ一つ丹念に説得し,予断や偏見を解きほぐすように努めることが求められているといえよう。あるいは,著名事件である
ほどにその説明負担が大きくなることはやむを得ないところもあろう。この観点からしても,第1審原告らの被侵害利益の程度は大きいとは
いえないと評価できる面があるよう
86:マンセー名無しさん
19/06/19 22:04:48.45 EyacbVkl.net
P19
に思われる。のみならず,本件は,弁護士同士の相互論争としての性格も否めず,その点からすると,弁護士会,日本弁護士連合会の自治,
自律の下での内部処理に委ねられるべき(国家権力に頼るには適しない)側面もあろう(なお,第1審被告の発言につき,その所属の大阪弁
護士会が同人を懲戒したことは官報をもって公告され(弁護士法64条の6第3項),当裁判所に顕著な事実である。)。4以上のとおり,
第1審被告の発言の趣旨,態様は不適切なものであることは免れ難いが,反面において,第1審原告らが侵害された人格的利益は必ずしも重
大なものとはいえないと認められる。そうすると,第1審被告の本件発言中の呼び掛け部分が表現行為の一環としての側面を有していること,
表現の自由が憲法的価値であり,民主主義社会の基盤をなすことなども考慮すれば,やや微妙な面があることは否定し難いものの,第1審原
告らが害された人格的利益は受忍限度を超えたとまでいうのは困難であるというべきである。裁判官千葉勝美の補足意見は,次のとおりであ
る。私は,法廷意見との関係で,本件呼び掛け行為の意味と違法性の評価について,次の点を補足しておきたい。
1本件呼び掛け行為は,メディアを通じて,視聴者が一斉に本件弁護団に対する懲戒請求をすることを呼び掛けるものであるが,その意味に
ついては,本来であれば懲戒処分に該当しない行為であるのに数を背景に所属弁護士会に不当な圧力を掛けることにより懲戒処分を勝ち取ろ
うとする運動を唱導するものとする見方がないではない。仮にこのようなものであるとすれば,本来自治的団体である弁護士会に与えられた
自律的懲戒権限の行使をゆがめるものであり,不適切な行為と評価さ
87:マンセー名無しさん
19/06/19 22:06:52.55 EyacbVkl.net
P20
れることになろう。しかしながら,本件呼び掛け行為の意味については,次の点に留意することが必要である。第1審被告は,本件弁護活動
について,被告人の母胎回帰等という弁解は,最高裁が退けたはずの殺意の否認に当たり,内容としても不自然なもので,情状に関する事実
でもないのに,これをそのまま安易に弁解として採用して主張を組み立てるものであって,弁護士としての職責・使命に反する行為であり,
懲戒事由に該当すると考えているのである。本件の経緯によれば,本件呼び掛け行為は,このような考えを基に,「通常であれば弁護活動の
当否に関わる場合には所属弁護士会は活動内容には介入せず懲戒処分をすることは避けるであろうが,本件の場合には,当否の問題にとどま
らず,弁護士としての職務上の義務を果たさず,社会的に見て極めて不相当の行為であり,品位を失うべき非行というべきであって,国民の
多くもそのような見方をしていることを所属弁護士会に伝えるべきである。
そうすれば,弁護士会も,弁護活動の当否に関わる場合には介入しないという姿勢で門前払いをすることができなくなり,本件弁護活動が非
違行為に該当するかどうかを中身に立ち入って検討せざるを得なくなり,その結果懲戒処分が出されることになろう。」という趣旨で呼び掛
けをしたものとする見方が十分可能である。本件呼び掛け行為が,法廷意見の述べるとおり,刑事弁護活動の根幹に関わる問題についての慎
重な配慮を欠いた軽率な行為であり,その発言の措辞にも不適切な点があったことは確かであり,その点を無視するものではないが,上記の
ような見方を前提にすれば,本件呼び掛け行為が弁護士懲戒制度の趣旨に反する言動であるとまでみる必要はない。2そもそも,刑事事件の
弁護活動といえども,あらゆる批判から自由であるべき領域ではなく(今日の社会において,およそ批判を許さない聖域というものは考
88:マンセー名無しさん
19/06/19 22:09:12.56 EyacbVkl.net
P21
え難いところである。),公の批判にさらされるべきものである。その際の批判等に不適切なもの,的外れなものがあったとしても,それが
違法なものとして名誉毀損等に当たる場合であれば格別,そこまでのものでない限り,その当否は,本来社会一般の評価に委ねるべきであり,
その都度司法が乗り出して,不法行為の成否を探り,損害賠償を命ずるか否かをチェックする等の対応をすべきではない。弁護団としては,
社会的な高い地位を有し,また,社会的な耳目を集め,多くの論評の対象になる著名事件の刑事弁護を担当していることから生ずる避けられ
ない事態等ともいうべきものであり,一種の精神的圧迫感があったであろうことは想像に難くないが,甘受するしかないのではなかろうか。
本件においては,第1審被告の本件呼び掛け行為が契機となって,多数の懲戒請求がされた結果,本件弁護団は,その対応に負われ,精神的,
肉体的に予期せぬ負担を負い,悔しい思いをしたことは間違いなく,被った精神的な負担はそれなりのものではあったが,法廷意見が述べる
とおり,ある程度の定型的な対応で済み弁護士業務に多大な支障が生じたとまではいえず,上記のとおり,弁護活動は本来批判にさらされる
ことは避けられず,また,弁護士としての地位やその公益的な役割等を考えると,社会的に受忍限度を超えているとまでは言い難いところである。
(裁判長裁判官竹内行夫裁判官古田佑紀裁判官須藤正彦裁判官千葉勝美)
89:マンセー名無しさん
19/06/20 22:07:19.09 TDmZZGhA.net
懲戒に参加しなかった人からすりゃどうでもいい話。
90:マンセー名無しさん
19/06/22 09:57:15.05 QMLGvE5A.net
>>89
そもそも参加したやつが貼れって言ったから貼ったんだろ
91:マンセー名無しさん
19/07/06 17:34:03.93 vVsjZpzK.net
/--
92:マンセー名無しさん
19/07/15 20:15:57.16 vBogj7XB.net
P10
実質的に制限するような手続や方式を要求するようなことがあれば,それは何人でも懲戒請求ができるとしたことの趣旨に反することとなろう。
また,「懲戒の事由があると思料するとき」とはいかなる場合かという点については,懲戒請求が何人にも認められていることの趣旨及
び懲戒請求は懲戒審査手続の端緒にすぎないこと,並びに,綱紀委員会による調査が前置されていること(後記)及び綱紀委員会と懲戒委員会
では職権により関係資料が収集されることに鑑みると,懲戒請求者においては,懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠な
く懲戒請求をすることは許されないとしても,一般の懲戒請求者に対して上記の相当な根拠につき高度の調査,検討を求めるようなことは,
懲戒請求を萎縮させるものであり,懲戒請求が広く一般の人に認められていることを基盤とする弁護士懲戒制度の目的に合致しないものと考える。
制度の趣旨からみて,このように懲戒請求の「間口」を制約することには特に慎重でなければならず,特段の制約が認められるべきではない。
この点については,例えば本件のような刑事弁護に関する問題であるからとの理由で例外が設けられるものではない。第1審被告は,本件発言
④で懲戒請求は「誰でも彼でも簡単に」行うことができると述べて本件呼び掛け行為を行ったが,その措辞の問題は格別,その趣旨は,懲戒
請求権を広く何人にも認めている弁護士法58条1項の上記のような解釈をおおむね踏まえたものと解することができると思われる。ところ
で,広く何人に対しても懲戒請求をすることが認められたことから,現実には根拠のない懲戒請求や嫌がらせの懲戒請求がなされることが予
想される。そして,そうしたものの中には,民法709条による不法行為責任を問われるものも存在するであろう。そこで,弁護士法におい
ては,懲戒請求権の濫用により惹起され
93:マンセー名無しさん
19/08/15 18:21:51.76 xOWEy5sa.net
オリラジの中田が左での収益化に挑戦中
道は険しい…