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■ 1897年、イザベラ・バード「朝鮮紀行」
「都会であり首都であるにしては、そのお粗末さはじつに形容しがたい。
礼節上二階建ての家は建てられず、したがって推定25万人の住民は主に
迷路のような道の「地べた」で暮らしている。
路地の多くは荷物を積んだ牛同士が擦れ違えず、荷牛と人間ならかろうじて
擦れ違える程度の幅しかない。おまけに、その幅は家々から出た糞、尿の汚物
を受ける穴か溝で狭められている。
酷い悪臭のするその穴や溝の横に好んで集まるのが、土ぼこりにまみれた
半裸の子供たちと疥癬もちでかすみ目の大きな犬で、犬は汚物の中で転げ
まわったり、日向でまばたきしている。