22/08/15 00:30:14.07 BNFxM/A1.net
代表取締役社長が社員の背任の共謀共同正犯になった時は特別背任罪が適用されるの？
それとも元の犯罪が背任だから背任罪が適用される？
2:法の下の名無し
22/08/15 15:48:48.93 Uap2YysU.net
まず第1の疑問、例えば、従業員の背任行為を見過ごすのは
まさしく代表取締役の任務違背行為なので、当該代表取締役は
共謀共同正犯ではなく実行共同正犯になるのでは？
という疑問があるが、ひとまず、全ての共同正犯プロトタイプは
共謀共同正犯であるという有力説の立場に立つとする。
非身分者（取締役等以外の者）が取締役による特別背任罪（会社960条）に
関与した場合、成立する罪名については争いがある。
裁判例の多くは、業務上横領罪についての最判S32・11･19刑集11・12・3073
の解釈に従い、非身分者についても刑法65条1項によって特別背任罪の共犯
を成立させた上で、同条2項によって通常の背任罪の刑を科すと処理している。
これに対しては、刑は犯罪の成立によってのみ、そしてその限度で付科が正当化
されるのであり、犯罪の成立と区別された科刑を肯定することはできないとして、
非身分者には65条1項により背任罪の共同正犯が成立し、会社の役職員等の身分
者については同条2項により特別背任罪が成立すると解する立場や、特別背任罪
を背任罪の違法加重身分と考えて、非身分者にも特別背任罪の共同正犯が成立
すると解する立場がある。
以上、大コンメ刑法13巻（3版）394頁