ア弾―八路軍に対し毒ガス弾を使用at HISTORY2
ア弾―八路軍に対し毒ガス弾を使用 - 暇つぶし2ch1:名無しさん@お腹いっぱい。
18/09/01 15:15:22.41 OLedqunp0.net
   
「オーイ、残弾を知らせろー」 と段裂のほうをふりかえったときだった。
先ほど通ってきたばかりの村落が、もうもうと白煙をあげて燃えあがり、
赤い炎が渦をまいて部落の上をはい回っているのが目にうつってきた。
「そうだ、ア弾だ………。」 その瞬間、私の脳裡に、毒ガスにのたうち
まわって苦しむ戦士、まったく抵抗力を失った八路軍戦士を、芋刺しにして
殺す歩兵の姿が浮かんで、もうなんの躊躇もなかった。 「大隊長殿!
ア弾を撃ちましょう!。」側方の大隊本部に向かってどなった私は、
その返事も待たず、「オーイ、ア弾を持ってこーい。」と、後方の部落の
かげにいる段列に向かって叫んでいた。
弾は依然として、砲側に近くピュンピュンと飛んでくる。四、五寸も伸びた
麦畑をふんで、バタバタと乱れた足音がして「ア弾到着!」青ざめた顔に
冷や汗をびっしょりぬらして初年兵の●井と●藤が、口をパクパクあけながら
畑の上を引きずるようにして弾薬箱を運んできた。そうだ、彼らは初めての
戦闘なのだ。初年兵の初陣(ういじん)に、このようなありさまで“おじけ”
を持たしたら、後の始末が悪いと考えた私は「オイ●藤!いまに八路をお陀物に
するからな、よっく見とけ!」と彼らに勢いづけるようにどなった。
「副官!中隊に連絡だ。いまからガス弾を撃つ。陣地から逃げてくる八路を
攻撃しろ。」と、どなっている大隊長の声を耳に、私は、「ア弾の発射!五0
増せー」と、準備ももどかしそうに、諸元の修正を命じた。空色の弾体に、
太く赤線のはいったア弾。それは、特殊弾と呼ばれた毒ガス弾の秘匿名である。
窒息性とクシャミ性の混合ガスの放射と同時に、弾体炸裂時、榴弾同様の殺傷力
を持つという凶悪なガス弾であった。
私は、そのときこのガス弾が、人道主義を蹂躪し、国際法に規定された最小限の
戦争道徳さえ破壊した残忍非道なものとして、世界の人びとから呪われた殺人
兵器であることを知っていた。だが、日本軍国主義にすべての良心を失っていた
私には、そのようなものは、まったく眼中になければ、殺戮のためには、いかなる
手段も選ばなかったのである。

硫黄をくすぶらしているような、不気味な毒ガスは、山頂の石垣陣地を、毒蛇の
ようにはい回っては、右のほうに流れてゆく………。急に、両側の高地から銃声が
激しく鳴り始めた。 「やった、成功だ!」 陣地を捨ててのがれる八路軍を攻撃し
始めたのだと思うと、もうじっとしておれなかった」

「フフフフ、オイ、これがガスでやられたやつだ。………いいか、話の種だ、
よく見とけ!」と吐き捨てるように言った。
戦士の体を引きあげている●山は、「ハッ。フン、いいざまだ、●本よく見とけ!」
と、私にこびるような態度で答えると、「この野郎!」と、力まかせに戦士の体を
放り投げた。


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