16/10/10 02:06:05.10 pljtb8S+0.net
>>364
「軍律法廷 戦時下の知られざる「裁判」」/ 北博昭
前者の国際法にふれる行為が war crime 、つまり戦争犯罪(戦時犯罪、戦時重罪、戦律罪)である。
第二次大戦中までの日本においては括弧内の語が使われていた。たとえば、日本では、1912年
(明治四十五年)に批准された、1907年の「海戦に於ける捕獲権行使の制限に関する条約」に
反して、敵の商船に乗り込んでいる中立国の国民を捕らえたり、やはり同年批准の1907年の
「陸戦の法規慣例に関する条約」の付属書「陸戦の法規慣例に関する規則」の禁じる毒兵器をつかう、
などがこれにあたる。
戦争犯罪はふつう、現地の一般住民や「第三国人」などの非交戦者よりも、敵国の軍人のような
交戦者資格をもつ者のよって犯されることが多い。あくまで、〝戦闘上〟の国際ルール違反という
正確だからである。
一方、後者の、自軍への敵対行為を war treason 、つまり戦時反逆罪(敵軍幇助罪、反逆罪)という。
軍用の鉄道や電話を壊す、間諜をはたらく(スパイ行為)、兵器を奪う、といった軍の行動を害する
行為である。戦争の法規および慣例つまり国際法に反するものかどうか、といったことには関係ない。
これらの行為はすべて、作戦地・占領地の軍からすれば自軍への反逆、つまりは敵への幇助となる。
戦争犯罪とは反対に、戦時反逆罪の場合、多くは非交戦者が犯す。もちろん、軍人のように交戦者
資格をもつ者であれば、右のような行為はいわば正当な戦闘行為である。処罰の対象にはならない。
ただし、間諜は交戦有資格者がおこなっても罰せられる。