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むかしの薩摩では、
「三年に片頬」
といわれた。武士はげらげら笑ってはいけない。三年に一度くらい、それも片頬だけで笑え、というものだが、
歯をみせて笑わないにせよ、薩摩人はひとに接するときにはたえず微笑していたように見える。西郷という人も
そうであったらしい。元来、薩摩の士族言葉というのは実に優美なもので、音韻的にも母音が多くてやわらかであり、
抑揚も音楽的で、ひとに対する優しさのみを表現しようとして出来上がったものではないかとさえ思えるほどの
ものである。歴史的薩摩人というのは敵人に対して異常にやさしかったということはすでに触れたが、全体に心優しさ
というものが薩摩の気風の特徴であったかとおもえる。私のまがり角にいた薩摩びとたちも心優しさという点では
例外なしに共通しており、とくにひとの性癖上のきずや失敗についてはじつに寛容なのである。それらのひとびとは
いま五十五歳から七十余歳になられているが、薩摩隼人の伝統というのはその時期までのものであったのだろうか。