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万葉仮名には、富の字の発音として、富(フ)と富(ホ)がある。
富(フ)は、呉音由来の仮名。
そして、漢音は富(フウ)とされている。
そうすると、富(ホ)の万葉仮名は、どのような由来なのかということになる。
富(ホ)は、5世紀後半の稲荷山鉄剣銘にみられる意富比垝(オホヒク)の富(ホ)と同じであり、この富(ホ)の発音は閩東福清語の富(ho)と同じであることから、富(ホ)は5世紀頃の閩語の富(ho)由来だと考えることが可能だ。
これを見れば、古墳時代から万葉仮名の飛鳥・奈良時代には一貫して富(ホ)のh音があったことは明らかである。
そして、平安時代には妙法蓮華経の法の発音はホーであったと考えることができ、鎌倉時代、室町時代へと法(ホー)の発音は継続されるので、5世紀後半から室町時代まで一貫してh音の発音があったことが分かる。
ハ行子音のハ音がワ音に訛ることが平安時代にあったとされているが、このハ音からワ音への訛りはハ音だけに生じた変化であり、h音の存続自体にはなんら関係のないことであった。
また、平安時代のファ音(両唇音)と関連することでもないと思われる。
このハ音からワ音への訛りはあったものの、h音自体がそのまま存続していたことは法(ホー)の発音が室町時代まで確認できるので、日本語におけるh音が一貫して存続していたことは明白である。