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小説『犬のような人生』
第一章:虚栄の始まり
奥山健太郎は中卒で、先祖代々肉体労働者の家系に生まれた。しかし、彼には大きな夢があった。社会的地位と尊敬を得ることだ。それで彼は電気通信大学を卒業したと学歴詐称し、人材派遣会社を経営する佐藤家の娘、佐藤美咲と結婚し、婿養子となったのである。健太郎は派遣業務を手伝い始めるが、中卒の学力では難しい仕事についていけず、徐々に周囲の信頼を失っていく。
第二章:破綻の兆し
その後、健太郎の学歴詐称が発覚したが、佐藤家は彼を許すことができなかった。美咲の父は健太郎をクビにし、家から追い出した。美咲は夫を支え続けることを決意するが、健太郎は非正規労働者として低賃金の肉体労働に従事し、家族を貧困に陥れる。美咲の愛情も次第に冷め、健太郎への軽蔑が心の底から湧き上がる。美咲は健太郎を犬のように扱い始め、家事や雑用を一手に押し付ける。
第三章:屈辱の日々
年月が経ち、健太郎は50歳を過ぎたが状況は改善されなかった。彼は家では犬のように扱われ、外では低賃金の肉体労働に従事し、人々から軽蔑される毎日だった。美咲の両親は二人の貧しい暮らしを見かねて分譲マンションを買い与えるが、それは地下1階の、公団住宅と大して変わらない安いマンションだった。それでも健太郎はこのマンションを見て歓喜した。
第四章:絶望の淵
健太郎は美咲からの屈辱的な扱いと社会からの軽蔑に耐えながら、自分の過ちと向き合った。彼は自分の学歴詐称がすべての原因であることを悔い、しかしもはや取り返しのつかない過ちであることを悟った。健太郎は自分の運命を受け入れ、死ぬまで犬のような人生を生きる覚悟をした。
エピローグ:冬の終焉
年老いた美咲はマンションを売り、その金で老人ホームに入った。行くあてのない健太郎はホームレスになり、多摩川の河川敷に段ボールとブルーシートで小屋を作り住むようになった。やがて、孤独な生活に耐えかねた健太郎は、捨てられていたオスの老犬をチンタロウと名付け飼い始めた。
初春のある日、異臭を感じた通行人から通報を受けた警察官が、段ボール小屋の中で抱き合うようにして死んでいる犬と痩せこけた老人の遺体を発見したのはそれからまもなくのことであった。