15/01/08 12:46:13.00 D6xjY+Xc.net
>>36
1801年のことだった。私は地主の元を訪ねてからたったさっき帰ってきたばかり。
地主は唯一の隣人ではあるが、おそらく将来なんらかの厄介ごとが持ち上がるだろう。
ともあれ、ここは間違いなくすばらしい土地だ。英国中を探しても、これほど
社会の騒擾から完璧に引き離された場所に落ち着くことができるとはとても信じられない。
人間嫌いにとっては申し分ない天国。地主のヒースクリフ氏と私は、この荒蕪の
土地を分け合うにはこれ以上ないほど似合いの組み合わせだ。なんとすてきな人物!
ヒースクリフ氏はまず思いもよるまい、私が彼の方に近づき、その黒い目が疑わしげに
眉毛の下で細められるのを見た時、いかに私の心に彼に対する親愛の念が湧き上がって
きたかを。それに、その時、彼の指は堅牢な意思でいよいよ深くチョッキの中を探っていた。
私は自分の名前を告げ、
「ヒースクリフさんですか」と聞いた。
返答は無言のうなづきだった。