12/06/17 15:07:44.92 .net
プログラムのクランコの解説からとんだ発展ですね。
クランコの説明は「もともと女性のために書かれた音楽をプティパは
男性ヴァリアシオンに変えてしまった」というもので、それ以上でも
それ以下でもない。また、これはほぼ正しい考察でしょう。
黒鳥PDDには複雑で長い歴史がありますので、興味のある方は勉強して
ください。私の知っていることを数点説明しておきましょう。
(1)チャイコフスキーの音楽は完全な全曲1つだけで、音楽の
改訂は一切ありません。したがって、2つある出版譜の相違は
校訂上の問題だけです。そして、そこには、いわゆる黒鳥PDDは
存在しません。
(2)モスクワの初演版は、もちろんチャイコフスキーの音楽
とは一致しません。いろいろ手が加えられて、数年間に40回以上
上演されたのですが、台本、曲番、配役、数枚の舞台スケッチが
残っているだけで、振付は全く残っていません。したがって
ライジンガー版というものは存在しません。
(3)チャイコフスキーのスコアを見て、プティパも!!!3幕に
PDDの必要性を感じた。そこで彼は1幕にあったPDDをクラシックPDDの
様式にあわせスコアをドリゴに変更させて3幕の黒鳥PDDとして振付けた。
これが現代の諸振付の振付としての原典といえるものです。
(4)もともとの1幕のPDDは、村娘、女官、貴族の娘などいろいろの
説がありますが、チャイコフスキーのスコアには何も指定されていません。
ブルメイステル版をご覧の方は感じられたと思いますが、あの設定では
「役不足」だと誰もが感じるでしょう。それで私はオデットと書いたのです。