18/10/19 23:13:06.39 hynC6dxO.net
だいぶ前に「カザルスとの対話」という本を読んだことがある。
カザルスの若い頃、つまり19世紀後半ではモーツアルトはまったく
評価されておらず、むしろ蔑ろにされていた、ということだね。
そういった作曲家の不遇の時代や生きていた時代にどのような演奏が
行われていたのか、というのは歴史的な興味をそそるし、
学究的には悪くない研究だ。
しかしながら、過去の時代の実演を現代において再現したところで
学究的な意味はあっても、芸術的な意味はない。
つまり、作曲家が芸術家として評価されはじめたのは近代であるから、
それ以前の演奏を再現しても、鑑賞に堪えうるしろものにはならない。
結論として、学術研究と鑑賞とは逆方向の行為だろうよ。
もし今回の公演でそれをやるのであれば、最初から学術研究発表会として
やるべきだったな。それならそれで面白かったかもしれない。
観客がふつうに「鑑賞」という目的で足を運んだところが、
それが「学術研究発表会」だったのであれば、
ますます詐欺行為として悪質だ。
そもそも「研究発表」と「鑑賞」との区別がつかないのであれば、
アホすぎて話にならんだろうよ。