16/01/15 19:43:25.85 O3I6/K42.net
430つづき
Deutsce Grammophon MG9411/2
BEETHOVEN SYMPHONY NO.9 解説から
門馬
ベルリン・フィルというのは機能的というか,言われたとおりのことはものすごくうまくできるけれども,
ウィーン・フィルみたいなふわーっと出てくるのがむずかしいのかもしれないね。指揮者がきれいにやってくれるとやるんだけれども。
金子
ウィーン・フィルのあのアンサンブルというのはほかのオーケストラはまねができない。
だって,フルトヴェングラーだったけれども,何かオペラをやったときに,とにかくピッツィカートなんか絶対に合わない。
そして,あれよあれよという間にチェロが先に行っちゃう。先に行って待っているんだ。(笑)そういうような,いわゆる縦の線が合わない。
それでちっともおかしくない。だから学生にもよく言うんだけれども,音楽にはリズムとリズムの間に間隙があるということ。
間があるということ。その間をじょうずに利用しているのがウィー・フィルハーモニーじゃないかと思うんです。
ですから,いわゆるコンパクトにぴっちりとしたアンサンブルをしていくんじゃなくて,何となくまとまっている。
それでいて決してほかを聴かないようなアンサンブルじゃない。必ずほかを聴きながらやっているあんさんぶるですね。
で,無理に合わせようとするものじゃない。ああいうアンサンブルというのはほんとうにまねができないですね。
だから日本のオーケストラがうんとじょうずになったら,おそらくベルリン・フィルハーモニーになる。
門馬
向くとすればそっちのほうに向きますね。
金子
だけどウィー・フィルハーモニーはどうしてもまねできないと思う。あれは一人一人の一種の感覚というものが必要だからね。
またベーム自身もやっぱりそういう感覚的なところ持っているから。