12/03/09 18:29:59.07 Qra/yDDj
沖縄が独立した翌日、私は近所に住む桑江君とともに学校に向かった。
もう冬だというのに空は青々としている。
子供たちの表情は希望と活気に満ち、広場で遊ぶ女の子の額から流れる汗が太陽光を反射していた。
「人間が憎しみあう時代は終わったのだな」
昨日までとある村立中学に通っていた比嘉君が、ほっとしたように僕たち二人に言った。
「そうだ、これからは人が人を支え合う時代なんだよ」
普段は滅多に話に加わらない桑江君が、比嘉君の肩に手を置いて優しく言った。
「人という字を思い浮かべて見ましょう。二本の線がお互いを支え合っているでしょう」
ちょうど出勤してきたばかりの髪の長い女性教師がそう言って微笑んだ。
小学校高学年の子は長年使ってきた参考書を古本屋に売り、真新しいサッカーボールを購入した。
「詰め込み教育はもう不要だ。これからは沖縄中に元気な声を響かせよう」
少年らしい生き生きとした表情で男の子は言った。
青空のなかを中国兵が横切っていった。