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―今、日本のアニメやマンガは「クール・ジャパン」として海外で評判です。村上さんは、その旗手とも見られているようですね。
「『クール・ジャパン』なんて外国では誰も言っていません。うそ、流言です。日本人が自尊心を満たすために勝手にでっち上げているだけで、
広告会社の公的資金の受け皿としてのキャッチコピーに過ぎない。
外国人には背景や文脈のわかりづらい日本のマンガやアニメが少しずつ海外で理解され始めてはいますが、
ごく一部のマニアにとどまり、到底ビジネスのレベルに達しておらず、特筆すべきことは何もない。
僕は村上隆という一人の芸術家として海外で注目されているのであって、クール・ジャパンとは何の関係もない」
―では、村上さんの、何が評価されていると思うのですか。
「日本の美を解析して、世界の人々が『これは日本の美だな』と理解できるように、
かみ砕いて作品をつくっていることだと思います。僕は、戦後日本に勃興したアニメやオタク文化と、
江戸期の伝統的絵画を同じレベルで考えて結びつけ、
それを西洋美術史の文脈にマッチするよう構築し直して作品化するということを戦略的に細かにやってきました。
それが僕のオリジナリティーです」
―それでも、日本政府は「クール・ジャパン」のアニメや玩具、ファッションなどを海外に売り出そうとしています。
「それは、広告会社など一部の人間の金もうけになるだけ。アーティストには還元されませんし、税金の無駄遣いです。
今やアニメやゲームなどの業界は、他国にシェアを奪われて、統合合併が相次ぎ、惨憺(さんたん)たる状態。
クリエーターの報酬もきわめて低いうえ、作業を海外に下請けに出すから、人材も育たない。地盤沈下まっただ中です」
(後略)
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