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ブーレーズと新ウィーン楽派 2003.04.22b.
大阪でタクシーに乗って「ザ・シンフォニーホールまで」と告げると、運転手が「今日は何があるんですか」と聞くので、
「ブーレーズのコンサート」と答えたところ、「ブーレーズっちゅうのは結局は作曲家やのうて指揮者になってしもたんですかいな。
なんやマルローと喧嘩して、ほんでイルカムたらいうの作って、えらい予算使てましたんやろ」ときた。いやはや、大阪の文化水準は決して馬鹿に出来ない。
それはともかく、ブーレーズがグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ(GMJO)を振ったオーケストラは、実に素晴らしいものだった。
ユーゲントオーケストラ?学生オーケストラに毛の生えたようなものじゃないか?そう思って見くびるとしたら大変な間違いだ。
クラウディオ・アバドが千九百八十六年に創設したこのオーケストラは、全ヨーロッパの26歳以下の優秀な演奏者を選りすぐって構成されており、
ここからウィーンやベルリンといった一流オーケストラに巣立って行くものも多いーーというか、
一人一人の演奏者が優れた技術のみならず若々しい熱意を持ったこのオーケストラ自体、
世界の一流オーケストラに優るとも劣らぬ演奏を聴かせてくれるのだ。特にブーレーズとの出会いは素晴らしい結果を生んだ。
ブーレーズは恐らく天才作曲家とは言えず、IRCAM楽派もどんぐりの背比べのようになってしまったけれど、
演奏面では、世界最高の指揮者の一人として活躍するばかりか、アンサンブル・アンテルコンタンポランを創設して現代音楽の演奏水準をぐんと引き上げ、
またそこから優れた演奏家たちが育ってきてもいる(今回のツアーでも何人かがソリストとして参加する)。
1925年生まれの彼にとって孫の世代に当たるGMJO とのコラボレーションもその延長上にあると言えよう。