エレクトロニカと付き合い始めたat NIKAエレクトロニカと付き合い始めた - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト144:名無しさん@お腹いっぱい。 10/02/03 00:47:40 TGX0Yxme 「ひどいよ……僕のi pod……80ギガバイト分の精神安定剤……」 「ごめんなさい。でも、おかげでいい音が録れたわ。80ギガバイト分の音楽の悲鳴」 落胆する僕をよそに、ニカは満足そうにうなずいていた。 「……そんなものを録音していったいなにになるっていうんだい?」 「わからない? この音をサンプリングして曲をつくるのよ」 「そのためだけにi podをレンジにかけたのかい?」 僕の語気はすこし強くなっていた。 「怒らないで。これはね、本当にすばらしい”音”なのよ」 ニカは録音機の再生ボタンを押した。 「……オウテカがたどり着いた境地に近いわ……ううん、そのさらに先」 恍惚とした表情でi pod破壊音を聴くニカ。 僕はハンカチを取り出して、そっとi podを包むと部屋を出た。 「どこへ行くの?」 後ろから聞こえるニカの問いかけには答えなかった。 145:名無しさん@お腹いっぱい。 10/04/24 21:48:00 XpzL7Yq9 test 146:上 10/04/24 23:19:57 XpzL7Yq9 「どうした?そんな処で。」 布巾で居間のちゃぶ台を拭きながら、僕は縁側の床にペタンと座り込んでいるニカに声をかけた。電気も点けずに、何やら一生懸命に手元を動かしている。 彼女の膝元には、粉々に砕かれた僕のiPodとティッシュボックスとセロハンテープが、散らばったパズルのように無造作に転がっていた。 返事は無い。 ちゃぶ台を拭く手を休めて、僕は厚手の座布団を縁側にいるニカへ持って行った。 「足、冷たいだろ。」 子供をあやすように優しく頭を撫でながら、僕はニカに声をかけた。 「……。」 返事は無い。 透けて溶け込むような白い足を少し横から持ち上げて、床と足の間に座布団を滑り込ませた。 触れた足先は異常に冷たかった。 更に僕は上着を脱いで、ニカの細い肩にかけた。返事は無い。 後ろから少しきつく抱き締めながら、もう一度 「…何してるの」 僕はニカの耳元で小さく囁いた。 「…っんとねー。ニカ、いま照る照る坊主さんつくってるのー。」 「……。」 「雨さんがね?これから、たっ~くさんお家に戻ってくるから、迷わないように、ニカ、照る照る坊主さんいっぱい作ってるの♪」 「……。」 「コレはお父さん坊主!」 満面の笑みで、ニカは自分で作った照る照る坊主を見せてくれた。 粉々に砕かれたiPodをティッシュでくるんで、リード線を捻って丸い頭をこしらえていた。 顔には、マジックでニッコリ顔が不器用に描かれている。 『普通』の女の子がいるとすれば、ニカは少し『普通』とは外れた女の子だろう。 最新のファッションや流行りの音楽を、皆と一緒に追いかけるタイプではない。 どちらかと言えば、自分の好奇心が続く限り、自分の好きな処に留まるタイプだ。ニカ本人の居心地が良ければ、例えそこが古くなっても、忘れ去られても、ずっとそこで浸っている。 ズレた場所にいると周りから見えたとしても、浸っているニカが良ければそれでいいのだ。 一人で浸っていられる強さを、ニカは持っている。 僕はそうニカを理解していた。 けれど、この照る照る坊主さんは僕を大きく混乱させた。 照る照る坊主さん…? なんて言葉を返せばいいのか判らなかった。 僕は受け取った照る照る坊主さんを、手の中で何度か回したり撫でたりした。 長い沈黙の後、ようやく一言 「…よく出来てるよ」 とだけ言葉を返せた。 ニカは 「えへへ(o^∀^o)」 と無邪気に笑って、また元の作業に戻った。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch