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「大規模噴火は数千年に1度なのに24時間の監視が必要なのか」。6月に気象庁で開
かれた、国土交通省対象の事業仕分け「行政事業レビュー」。活発に活動する全国の
火山に高精度の観測機器を設置するという同庁の整備事業に対し、経済評論家の勝間
和代氏ら「仕分け人」から厳しい指摘が相次いだ。麻生政権当時の補正予算で整備は
決まった。地下約100㍍に地震計と傾斜計を設置し、マグマの動きによる小さな地
震や地殻の膨張、収縮をとらえる。気象庁はこれまで全国の31火山に計約300台の
機器を整備してきたが、このうち約260台はすでに耐用年数を超えている。同庁の
担当者は仕分け人を前に「(補正予算で)火山防災がやっとひと息付ける」と説明し
たが、仕分けの結論は「抜本的改善」だった。日本には世界全体の7%にあたる10
8の活火山が集中する。しかし、その観測体制は万全ではない。噴火で人的な被害が
生じるおそれがある火山約80のうち、現時点で気象庁が24時間の連続監視をしている
のは34に過ぎない。仕分け対象となったシステム整備が予算通り進んでも常時監視は
47火山にとどまる。北海道大の大島弘光准教授は「今の技術では噴火の時期や形態は
予測不能だ。基盤となる観測網が必要だ」と訴える。一方、研究データを提供し、気
象序の火山観測を補ってきた大学の観測網にもほころびが目立つ。国立大学は200
4年の法人化で国からの運営費交付金が毎年1%ずつ減らされている。03年度に計1
億1100万円だった観測装置の維持費は06年度には計6800万円まで減った。長
崎県で雲仙・普賢岳の観測を続ける九州大の地震火山観測研究センターでは、山のふ
もと4力所で、1991年の噴火以前に設置した古い地震計を使っている。近くで農
作業があるとその振動でデータが狂う。清水洋センター長は「電気代などを節約しで
修理などに充てるのがやっと。更新はできない」と話す。そうしたなか、文部科学省
は08年、大学が観測している全国の33火山のうち、活動が盛んな16火山で観測を強化
する方針を打ち出した。残りの17火山については大学の裁量に任せ、支援はしない。
強化対象の16火山については5年程度で、文科省と独立行政法人防災科学技術研究所
が高精度の観測機器を設ける。09年度にはまず5火山8カ所に機器を導入した。とこ
ろが、この計画も政権交代による方針変更などが重なって今年度は予算がつかず、観
測強化は看板倒れ寸前だ。しかも、長野県と岐阜県境で79年に有史以来初めて噴火し、
91年、07年にも小規模な噴火を繰り返している御岳山でさえ、観測強化の対象からは
ずされた。観測を続ける名古屋大の木股文昭教授は「気象庁の観測体制が不十分なま
ま大学の観測網が縮小されている。これでは活火山の監視をやめるに等しい」と話す。
(2010年7月6日 朝日新聞)