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「朝鮮事情」 シャルル・ダレ 1874 (1979 平凡社東洋文庫)
朝鮮人は、科学技術の分野においてほとんど進歩のあとを見せていないが、
産業の知識においては、なおさら遅れている。
この国では、数世紀もの間、有用な技術は全く進歩していない。この立ち遅れの主な原因の一つに、
人々が全ての手工業を各自の家でまかわなければならず、
必需品を自分の手で作らなければならないという現実がある。
農民たちは、自分の手で衣服・わらぐつ・籠・ざる・箒 ・綱・紐・ござ・それに必要な農具を作る。
一言にして言えば、自給自足しているのである。
彼らはもっとも単純で原始的な方法に満足しているので、 決してめざましい熟練にまで達することはない。
特殊な道具を必要とし、その道具を使用するのに、徒弟期間の置かれた職業にのみ特別な職人がいる。
しかしこの場合でも、一つの定まった仕事場だけで働く職人は稀である。
普通彼らは雇い主の所まで道具を担いでいき、 そこでの仕事が終わればまた別の仕事を捜す。
設備が必要なはずの者でさえ、一定の場所に留まることがない。
たとえば陶工は、薪と粘土が自分の好みに合う所に居を定め、そこに小屋と窯を作り、近隣の人のために
雑器や土壷、時に大きな容器を作ったりするが、薪がなくなればまた別の所へ稼ぎ場所をかえる。
鍛冶屋も同じ行動様式で採鉱が非常に困難になるとそこを離れて行く。したがって、
大きな工場や本格的な採掘場・その名に値するほどの作業所などできはしない。
簡単に風に吹き飛ばされて、雨が漏れやすい継ぎ目の悪い板小屋。それにひびが入って壊れそうな窯や炉、
これが全てである。したがって利潤はほとんどない。
金のあるような人はこのような産業へ投資しようとは考えもしない。
朝鮮の国内商業がほとんど発達していないことは容易に結論づけることができる。
自分の家に店を開いている商人はごくわずかで、ほとんど全ての取り引きが市で行われている。
また商業の発達に大きな障害になっているものの一つに不完全な貨幣制度がある。
金貨や銀貨は存在せず、流通しているのは銅銭しかない。
そのため相当量の支払いをするためには、一群の担ぎ人夫が必要となる。というのは、
200フラン分の銭が 1人分の荷物になるからである。
北部地域ではこの貨幣すら流通していないのである。
朝鮮の金利は法外である。年3割の利子で貸し付ける人は、 ただで与えるのも同然だと思っている。
もっとも一般的 なのは5割・6割で、時には10割もの利子が要求される。
商取引におけるもう一つの障害は、交通路の惨めな状態である。
この国は山岳や峡谷が多いのに道路をつける技術はほとんど知られていないのである。
■"Korea and Her Neighbours" by Isabella Lucy Bird
『朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期』イザベラ・L・バード
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イザベラ・バードが見たソウル
「都会であり首都であるにしては、そのお粗末さはじつに形容しがたい。 礼節上二階建ての家は建てられず、
したがって推定25万人の住民は主に 迷路のような道の「地べた」で暮らしている。 路地の多くは
荷物を積んだ牛同士が擦れ違えず、荷牛と人間ならかろうじて擦れ違える程度の幅しかない。おまけに、
その幅は家々から出た糞、尿の汚物を受ける穴か溝で狭められている。酷い悪臭のするその穴や溝の横に
好んで集まるのが、土ぼこりにまみれた半裸の子供たちと疥癬もちでかすみ目の大きな犬で、
犬は汚物の中で転げまわったり、日向でまばたきしている。
Seoulには芸術品がまったくなく、公園もなければ見るべき催し物も劇場もない。
他の都会ならある魅力がSeoulにはことごとく欠けている。 古い都ではあるものの、旧跡も図書館も文献もなく、
宗教にはおよそ無関心だったため寺院もない。 結果として清国や日本のどんなみすぼらしい町にでもある
堂々とした宗教建築物の与える迫力がここにはない。」
「とにかく道が悪く、ほとんど貨幣制度もなく、 世界有数の汚く悪臭のする都市だ」