14/09/24 23:43:07.66
古森 義久
慰安婦問題では河野談話の危険性こそ直視されるべきだ―。日本の国際的な名誉を貶めた慰安婦問題は、朝日新聞の
記事撤回後も河野談話の扱いをめぐり、さらに熱い論議が沸き起こっている。
中韓両国も米国も、日本に対して河野談話の見直しはするなと圧力をかける。では、河野談話に手をつけなければ、日本にとっての
慰安婦問題の汚辱は消えていくのか。中韓両国や米国の日本非難勢力は、慰安婦問題での日本糾弾を止めるのか。決して
そうではない点に、河野談話の根深い問題点が存在するのである。
河野談話とは周知のように1993年8月4日、当時の宮沢喜一内閣の官房長官だった河野洋平氏が発表した「慰安婦関係
調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」のことである。
その内容は、(1)慰安婦への日本軍の関与と、本人たちの意思に反したという意味での強制性を認める、(2)女性たちの名誉と
尊厳を傷つけたことへのお詫びと反省を表明する、(3)そのお詫びの表明として後にアジア女性基金が元慰安婦たちへの事実上の
賠償のために創設される―という骨子だった。
この談話で女性たちの強制連行は指摘していなかったが、その後の河野洋平氏の記者会見での言葉が、日本軍による女性たちの
強制連行を認めたように解釈された。
今の慰安婦問題はこの河野談話を中心に動いている。中国、韓国、米国などが日本政府に対し、もっぱら「河野談話の見直しは
してはならない」と圧力をかけているのである。ワシントンでもオバマ政権の高官たちは機会あるごとに「安倍政権は河野談話を
見直すべきではない」という趣旨の発言をする。これはいかにも日本を見下したような、オバマ政権らしい語調の警告として響く。
だが、河野談話を見直さないでいることは慰安婦問題の解決にまったくつながらないという現実は強調されるべきである。
米国各地における慰安婦の像や碑の建設拡散も同様である。日本側が河野談話で「お詫びと反省」をしたと唱えても、この拡散は続く。
日本を叩く側にとって、河野談話は免罪の理由にはならないのである。
ワシントンでごく最近、端的な例を目撃した。
8月19日、大手研究機関の「ヘリテージ財団」が「歴史が北東アジアの将来の前進を阻む」と題するシンポジウムを開催した。
その会議の内容はすでに当連載(「日本の『強制連行』叩きをやめない米韓連合」)でも報告した。このシンポジウムの質疑応答で、
慰安婦問題で日本を攻撃する活動家として知られるミンディ・カトラーという米国人女性が大きな声でこう述べた。
「河野談話は閣議決定ではないから本当の謝罪にはならない。日本の慰安婦への謝罪はもっと重くなければならない!」
カトラー氏は、アジア関連のニュースレターなどを出す小さな政治組織の代表である。日本との関わりが特にあるわけではないが、
慰安婦問題で日本を長年にわたって非難し続けている。2007年の下院決議でも主唱者のマイク・ホンダ議員(民主党)らと協働し、
決議案の推進に努めてきた。安倍晋三氏を特に嫌い、「右翼の軍国主義者」などとののしってきた記録もある。
米国でこうして慰安婦問題を取り上げて日本を叩く勢力から見て、河野談話は免罪符でも防壁でもない。事実、2007年に採択された
下院決議は「日本政府は公式に謝罪を」と求めていた。河野談話での「お詫び」は無視されている。だからカトラー氏も、日本の謝罪は
公式の謝罪でも心からの謝罪でもない、と主張するのだ。
もっとも、たとえ日本側が閣議決定で慰安婦問題について謝罪を表明しても、この種の反日勢力は決して満足しないだろう。
現にカトラー氏は別の機会に「日本は慰安婦問題について国会決議で謝罪しなければならない」などと主張している。
(>>2以降へ続く)
JB PRESS 2014.09.24(水)
URLリンク(jbpress.ismedia.jp)
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