14/09/24 16:19:33.84
日本の選挙の不条理を描いたドキュメンタリー映画「選挙」「選挙2」で知られ、米国ニューヨーク在住の映画作家想田和弘さん(44)は
今の日本を眺め、言う。「民主主義をやめたがっているようだ」。自民党の憲法改正草案に全体主義志向を見て、特定秘密保護法案の
強行採決や解釈改憲による集団的自衛権の行使容認が看過されたさまを「熱狂なきファシズムが進んでいる」と表現する。その真意は。
◆無関心と楽観主義
「熱狂なきファシズム」の意味するところを同名の著書でこう説明する。
〈安倍首相率いる自民党は、明らかに全体主義を志向する憲法改正草案を掲げ、それを一つの争点としながら、国政選挙で圧勝した。
有権者は意識したかどうかは別として、結果的にはファシズムを目指す政党に国家権力を委ねた〉
ただ、それを「ファシズム」と言い切るのはしっくりこないという。
〈ファシズムという語にはある種の「熱狂」が伴うイメージがある。ヒトラーやムッソリーニや昭和天皇のように、カリスマとして祭り上げられた
指導者と彼らを熱狂的に支持する国民がいる。しかし、安倍氏を熱狂的に支持する人はあまりいないし、投票率も戦後最低レベルだった〉
考えをめぐらせていたころ、ある新聞社の記者から取材を受けた際にふと思いついたのが、「熱狂なき-」だった。
〈現代的なファシズムは、目に見えにくいし、実感しにくい。人々の無関心と「否認」の中、低温やけどのようにじわじわと進行するものではないか〉
自身はこの造語に日本が立たされた瀬戸際の状況と危うさに警鐘を鳴らす意図を込めたと語る。
2013年の参院選でねじれ国会を解消し、衆参両院で実権を握ってからの安倍政権の歩みは「残念ながら、その心配が当たってしまっている」。
特定秘密保護法案は十分なチェック体制の確立がされず、多くの問題を残したまま強行採決された。憲法で禁じられてきた集団的自衛権の
行使は解釈改憲によって道が開かれた。
「秘密保護法は民主主義を形骸化させかねない歴史の大転換とも言える法案だった。だが、安倍さんは自らの所信表明演説で何も触れなかった。
日本の安全保障政策が根本から見直しを迫られる集団的自衛権も本来は憲法改正手続きが必要な問題。世論に問い、広く議論を巻き起こすべき
問題なのに、自民党は極力議論を避けようとしている」
だが報道機関による問題提起や追及の動きは弱く、有権者の反応も薄い。
「無関心や『そこまでひどいことにはならない』という根拠のない信頼。そうして、低温やけどのようにいつのまにか傷を負っている。
『少し熱いな』と放っておいて、気付いた時にはもう手遅れになっている。自民党はこの手法を明らかに意図的に、そして一貫して採っている」
ソース:神奈川新聞 2014.09.24 14:58:00
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