14/09/02 10:55:49.80
ソース(毎日新聞) URLリンク(mainichi.jp)
写真=河出書房新社の選書フェア「今、この国を考える」のコーナー
URLリンク(img.mainichi.jp)
こんなに重苦しい空気が漂うようになったのはいつからだろうか。
昨年1月、沖縄県の市町村長、議長らが在日米軍の新型輸送機MV22オスプレイ配備に反対するために上京し、銀座を練り歩いて
いる時、待ち構えた数十人の集団から罵声を浴びせられた。「売国奴」「愚者の行進」。取材していた私にはよく聞こえなかったけれど、
「中国人」という声もあったという。写真を撮影していると、若い男性から飛びかかられた。
それ以来、少数派や隣国を激しく非難する言論を目にすることが多くなった。理由が知りたくて、「比較的穏健」と評される人たちを
訪ねてみた。ある女性グループは会議室を借りて街頭宣伝の準備をしていた。「ビラと一緒に受け取ってもらえるように」と、みんなで
きれいな色紙を使って丁寧にツルを折っていた。グループには韓国に住んだことがあるという人もいた。活動するきっかけはさまざま
だったが、「東日本大震災や原発事故の後、不安を感じて来た」という声も聞いた。ベビーカーを押している母親もいた。ところが街宣に
なると顔つきが変わり、憲法を口汚くこきおろし、韓国を大きな声で非難した。一人の女性は「すっきりした。こういう運動をやってから
体調がよくなった」と私に言った。
しばらくして、中国や韓国の前に「嫌」「憎」「呆(ほう)」といった言葉を付けたタイトルの本や、隣国をたたく内容の週刊誌が書店で
目立つようになった。ベストセラーのランキングに、そうした本が登場するようになった。週刊誌の編集部で働く知人は「反響がある」と
言っていた。こうした本や記事は以前からあったような気がするが、これだけ意識させられたのは初めてだった。
◇危機感背景に選書フェア
今年5月、河出書房新社が「今、この国を考える??『嫌』でもなく『呆』でもなく」と題した選書フェアを企画した。近現代史、憲法、女性
の生き方、消費税、生活保護、宗教とさまざまなジャンルの18冊を選んで書店に勧め、それぞれの店内に、これらの本を紹介する
コーナーを作ってもらう試みだった。自社以外の本も12冊含まれていた。
企画したのは4人の若手社員。「『嫌韓憎中』本に対抗しようというわけではなく、さまざまな価値観を示したかった」という言葉がとても
印象的だった。「本の豊かさを示したい」「『嫌韓憎中』本が増えたのは書店のせいではない。作り手として何とかしなくては」。世の中を
包む空気に強い危機感を抱いた行動だと理解できた。
メッセージは本を受け取った書店で働く人たちを動かした。首都圏の大型書店の担当者は「読み手に自分で考えてもらうことを目的に
したフェアなんだろう」と話し、18冊のほかに自分で選んだお勧めの本を加えて目立つように並べた。フェアの呼びかけに応じた書店は
7月までに全国で200店を超えたという。
◇一方的な言論、乗り越えて
だが、この取り組みは好意的にばかり受け取られたわけではない。ある書店では、3?4日間にわたって「なぜこんな本を置くんだ」
と長電話を掛けてくる人がいたという。私もフェアのことを6月2日に紹介する記事を書いたところ、1週間ほどでソーシャル・ネット
ワーキング・サービス(SNS)に4000件近い反応が寄せられたが、批判的な内容も少なくなかった。否定的な意見は断定的なもの
が多く、議論の余地がなさそうだった。
経済的に台頭し、領土問題も生じた中国や韓国が目障りだと感じ、たたくことで少しいい気持ちになりたいのだろうか。そんな心理が
入り交じっているような気がした。
(>>2以降に続く)
※記者がスレ立て時に全文確認済み…9/2 10:55