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国民の声に丁寧に耳を傾け、政治に反映させていくことが政党の一番の仕事なのに、自民党はそれを忘れてしまったかのようだ。
「ヘイトスピーチ」と呼ばれる人種差別的な街宣活動への対策を検討する党の会合で、国会周辺での大音量の街宣やデモに対する
規制も併せて議論していくことになった。
そもそも会合の趣旨とかけ離れたテーマだ。安倍晋三政権は脱原発の声を軽視したり、特定秘密保護法の整備などで国民の権利
を狭めたりする政治を進めている。対策が求められているヘイトスピーチ問題に便乗し、政権批判を封じる狙いも感じられる。
デモなど憲法で保障された「表現の自由」を同じ土俵で一緒くたに論じるのは問題だ。
在日韓国人らに対するヘイトスピーチに関しては、国連の人権委員会が先月、街宣活動に懸念を示し、差別をあおるあらゆる宣伝活動
の禁止を勧告した。大阪高裁もヘイトスピーチの悪質性を認める判決を出している。
自民党はこうした経緯もあり、プロジェクトチームを立ち上げ、おととい初会合を開いた。高市早苗政調会長はヘイトスピーチ規制の
必要性を語る一方で、「(大音量のデモで)仕事にならない状況がある。批判を恐れず、議論を進める」と述べた。
出席者からも「(思想の)右、左を問わず、騒音を規制すべきだ」との声が上がった。
国会周辺では以前から右翼団体の街宣活動があった。近ごろは市民のデモが活発化している。福島原発の事故で、政治意識が
高まっていることが大きい。
突然、デモ規制が出てきた背景には、原発再稼働に前のめりになっていることに加え、秘密法の成立や集団的自衛権の行使容認を
強引に進めたことで政権批判が高まっていることが考えられる。
自民党では昨年、石破茂幹事長がブログや講演で、秘密法に反対する市民団体のデモをテロ行為になぞらえたり、批判したりして
野党から「言語道断の暴挙」と厳しく追及されたばかりだ。
石破氏や高市氏は自民党の幹部である。国を動かしている政治家から国民の権利をないがしろにするような発言が続くことを、
見過ごすことはできない。
仮に、法などで通常のデモを規制するようなことになれば、日本の民主主義の成熟度が疑問視されることにもなるだろう。
市民の批判を謙虚に受け止める度量こそが自民党には求められる。
ソース:信濃毎日新聞 08月30日
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