14/08/26 19:00:05.20
(画像:朴大統領)
URLリンク(biz-journal.jp)
産経新聞ソウル支局長が、2度にわたって韓国の検察当局の事情聴取を受けた。記事が、「朴槿恵(パク・クネ)大統領に
対する名誉毀損に当たる」などとして告発を受けていたためだが、韓国大統領府も、産経新聞に対して、民事、刑事上の
責任を問う考えを表明している。
●たとえ“毒”のある論評であっても
問題となったのは、加藤達也支局長が8月3日に産経新聞のサイトにアップしたコラム。「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、
行方不明に…誰と会っていた?」と思わせぶりなタイトルがつけられている。事故の日、朴大統領の所在が不明になり、
関係のある男性と密会していたというウワサが、韓国社会の中で流れており、それは政権のレームダック(死に体)化が進んでいる
証しだ、といった内容。言いたいことは分かるが、「証券筋が言うところでは」と、真偽不明の、というより、かなり怪しげな噂を
ことさらに紹介している点などは、朴大統領に対する“悪意”がぷんぷんする、というのが私の読後感である。
ただ、産経流の“毒”がまぶされているとはいえ、コラムの大半を占めている情報は、韓国の新聞・朝鮮日報に掲載された
コラムに書かれたもの。にもかかわらず、大統領府がこれだけ目の敵にするのは、やはり産経新聞だから、だろう。
韓国の東亜日報は社説で、「産経新聞は、保守嫌韓新聞として悪名高い」「産経新聞のような低劣な新聞を日本の
他のメディアと同等に扱うことはできない。政府も取材制限など適切な措置を講じなければならない」などと断じている。
韓国国民にすれば、大統領は自分たちの国を代表する存在だ。大統領に対して批判的である人たちでも、外国の
「嫌韓新聞」に揶揄されることだけは許せない、と憤慨する気持ちは分からないではない。
しかし、である。大統領府だけでなく、韓国メディアも感情的になりすぎて、民主主義の根幹とも言える言論の自由を
置き去りにしてはいないか。
「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
これは、18世紀の啓蒙思想家ヴォルテールが言ったとされる(ただし、その証拠はないらしい)有名な言葉だが、言論の自由の
真髄はこれだろう。民主主義社会では、様々な立場による分析や主張が、自由に流通することが望ましい。自分とは異なる、
あるいは自分が不快に思う言論だからといって、排除していたのでは、言論の自由は守れない。むしろ、立場の違う者の言論の
自由こそ、しっかりと守らなければならない。
もちろん、人の名誉やプライヴァシ―を傷つける言論は制約を受ける。だが、その程度は、対象が一般人の場合と公人の
時では異なる。大統領は、公人中の公人。底意地の悪い批判や悪意の籠もった論評をされることも、やはり甘受すべきだろう。
確かに、“毒”はまぶされているとはいえ、この程度のコラムでいちいち刑事事件にされたり、外相会談に持ち出されて
外交問題化するのでは、民主主義国家である韓国の「言論の自由」のありように疑問を投げかけざるをえない。
(>>2以降へ続く)
(文=江川紹子/ジャーナリスト)
ビジネスジャーナル 2014.08.25
URLリンク(biz-journal.jp)
URLリンク(biz-journal.jp)