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日韓両政府は２３日、従軍慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話の検証結果公表後初めてとなる外務省局長級協議を開き、
対立解消への道筋を模索した。この日は舛添要一東京都知事も関係改善ムード醸成へ訪韓日程をスタートさせた。だが検証結果を
盾に韓国の対日追及に歯止めをかけたい日本と、検証に反発する韓国との間で広がる亀裂を埋めるのは容易でない。互いに
ナショナリズムを背景とした国内世論の高まりを受けて身動きが取れず、収拾策を見いだせないのが実情だ。
▽対米懸念
「作成過程を明らかにするための客観的な作業だ。韓国も結果を冷静に見てほしい」。菅義偉官房長官はソウルで局長級協議が
行われている最中の午後の記者会見で、韓国から検証への理解を得た上で関係改善を進める考えを強調した。
安倍晋三首相はこれに先立つ１７日、訪韓計画の説明に訪れた舛添氏に「関係好転に都知事の訪韓が役立てば大変うれしい」
と伝達。舛添氏は２３日、 朴元淳ソウル市長と会談し「きょうをスタート台に協力を積み上げたい。関係改善に役立つと確信する」
と表明した。
日本側が事態打開への意欲を強調したい背景にあるのは「拉致被害者の再調査で日朝関係が動きだす中、韓国をないがしろに
すれば、日米韓３カ国の対北朝鮮連携を重視する米国の不信感を強めかねない」（外務省筋）との認識だ。ケリー米国務長官と
岸田文雄外相の７日の電話会談で、首相訪朝への自制を求められたことも、こうした懸念に拍車を掛けた。
▽不信感
ただ掛け声とは裏腹に、安倍政権は韓国への実質的な歩み寄りを見せていない。１９６５年の日韓請求権協定に照らし、慰安婦
問題は「完全に決着済み」（岸田氏）との立場だからだ。 旧日本軍による慰安婦強制連行 があったとして対応を迫る韓国に「そうした
事実は確認されていない」（菅氏）と反論している。
検証も、 談話に基づき軍の関与と強制性を指摘する 韓国の対日攻勢にブレーキをかけるための戦術にほかならない。十分に
裏付け調査せず、日韓両当局者との文言調整を通じて談話を作成した経緯を「暴露」すれば、韓国としては談話を外交カードに
使いにくくなるとの読みが首相サイドにあった。
こうした日本側の「奇策」に韓国が動揺し、反発する展開は「当初から織り込み済みだった」（政府関係者）。官邸筋は「韓国に譲歩
しても、次の政権がまた新たな要求を突きつけてくる」と不信感を隠さない。
安倍政権の強気な姿勢を支えるのは、韓国に妥協すべきでないとする国内保守層からの声だ。保守系の 衆院会派「次世代の党」
の山田宏氏 は１４日の衆院予算委員会で、首相の韓国対応をめぐり「歴史の中に生きる政治家として、首相に期待している」とエール
を送った。
▽一致点
韓国も妥協の余地は狭い。 朴槿恵大統領自身が慰安婦問題解決を優先する姿勢を変えていないためだ。朴氏は中国中央テレビの
インタビューで、検証を「日本と韓国との信頼関係を壊した」と非難。日本側では「首脳会談は当面見込めない」（外務省幹部）との
受け止めが広がった。
だが韓国も米国の同盟国として、日米韓連携に配慮しなければならない点で日本と一致する。今回の局長級協議では対話継続を
確認した。韓国筋は「日韓で話し合わなければ、日朝関係の進展だけが突出してしまう。歩調を合わせる必要はある」と狙いを明かす。
ソース（共同通信） URLﾘﾝｸ(www.47news.jp)