14/06/26 23:22:37.59
・原文と異なる日本語版の記事 鈴置 高史
-韓国で語られ始めた「非同盟中立論」には驚きました(「『フィンランドになりたい』と言い出した韓国」参照)。
その後、親米派からの反論はあったのですか?
鈴置:韓国の主要メディアを見た限りでは、寄稿が掲載されて2週間たっても反論は出ませんでした。
ただ、米中対立が深まる中での韓国の微妙な立ち位置に関しては、アジア専門家のマイケル・グリーン・ジョージタウン
大学准教授も中央日報に興味深い論文を載せました。
掲載は「中立化論」の2日後でしたから、それに触発されて書いたわけではなさそうですけれど。
-日本語版で読みました。「韓国は大陸国家だろうか、それとも海洋国家だろうか」(6月11日付)ですね。
鈴置:それです。ただ、日本語版と、そのもとになった韓国語版は肝心な部分が削られています。そこでおおもとの英語版
―見出しは「Korea in the middle」―の骨子を以下に訳出します。
・中国の猛烈な圧力受ける韓国
・5月に上海で開かれたアジア信頼醸成措置会議(CICA)は、もともとはカザフスタンが提唱して1999年に始まった。
休眠状態にあったが、米国を中心とした太平洋の海洋同盟の強力なネットワークに対抗するため、中国が手に入れ今年、主催した。
・この会議の前に「アジアから国の連合や同盟をなくそう」との文言の入った共同声明に署名しろ、と韓国は中国から大変な圧力を受けた。
・アジア大陸の米国の同盟国は中国の圧力に従ったが、韓国は拒絶した。結局、中国の要求と原案は日の目を見なかった
(代わりに、習近平主席が基調演説で「同盟なき新たな安全保障」を示唆した)。
・朴槿恵(パク・クンヘ)大統領がアジアの国の中で習近平主席と最もいい関係を持つことは、韓国にとっていいことだし率直に言って
米国にとっても有益だ。
・だが、この地域での米国の同盟網の正統性に挑戦する声明に、韓国が署名に応じるはずだと中国が見なしたことはいいことではない。
……(A)
・怪しいおじさんについて行く娘
-韓国に対し結構、厳しい記事だったのですね。
鈴置:ええ、英語版を見てそう驚くでしょう、日本語版か韓国語版だけ読んでいた人は。日本語版などからは、グリーン氏が最も言いたかったと
思われる(A)の部分が抜け落ちているからです。
要は、韓国が中国に近づき過ぎたから反米連合に誘われたのだ―という指摘です。「韓国の従中」に対するこの批判部分がないと、
全体の文意は大きく変わります。
ここが削られた日本語版と韓国語版では、その前の部分「朴槿恵大統領が習近平主席と良好な関係を持つのは米国にとっても結構なことだ」
だけが大きく印象に残る仕組みです。
-なぜ、この部分が韓国語版に載らなかったのでしょうか。
鈴置:親「朴槿恵」紙としては、影響力ある米アジア専門家の朴槿恵外交への批判を載せにくかったのかもしれません。国民感情から言っても、
愉快な指摘ではありませんし。
この部分では「怪しいおじさんについて行ったら恐ろしい目に遭い掛けた娘」を父親として諭す雰囲気も感じられます。大人になったと
思っている娘からすれば「私のやることに口出ししないで」と反発したくなるでしょう。
ちなみに、これ以外にも2カ所、削除された部分があります。いずれも「韓国人の情緒にそぐわない」か「朴槿恵外交批判」と受けとめられる
くだりです。
日経BP 2014年6月26日(木)
URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)