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中国の民主化を求めて立ち上がった学生たちのデモが武力弾圧され、多数の命が失われた天安門事件から四半世紀が過ぎた。
中国はこの間、驚異的な成長で世界第2位の経済大国になったが、中国共産党の一党独裁体制の下、言論の自由はなく、貧富の
格差は拡大する一方だ。政治家・官僚の腐敗も著しい。
事件から丸25年の4日、北京市内では武装警察が厳戒態勢を敷いた。最近は改革派知識人らの拘束も相次いでいるが、中国メディア
は事件に対し口をつぐんでいる。
再び事件が注目されることで、国民の不満が現体制批判に向かうのを危惧している証しだ。
社会の矛盾を放置し、強権体制で抑え付けても国は安定しない。習近平体制は民意に耳を傾け、民主化へかじを切るべきだ。
事件は改革派の胡耀邦元共産党総書記の死去がきっかけだった。民主化を求める学生たちのデモが全国に波及し、北京の天安門
広場では軍の発砲でおびただしい血が流れた。
中国政府は死者数を319人としているが、実際はこれをはるかに上回るといわれる。
事件で明確になったのは、経済の自由化は推進するが、政治の自由は一切認めない当時の最高実力者、トウ小平氏の姿勢だった。
こうした開発独裁は人権を軽んじ、国や社会の利益を優先する。今日の深刻な環境汚染をもたらし、所得格差や政治腐敗といった
深刻な問題は一層悪化している。
だが習体制は政治改革に後ろ向きで、逆に抑圧を強めている。
年間20万件とされるデモや暴動は政権への警告といえよう。
新疆ウイグル自治区で相次ぐ爆発事件も無関係ではないだろう。漢族を優遇する一方、ウイグル族への民族・宗教教育は制限され、
不満を募らせている。
2010年にノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏をはじめ、民主活動家への弾圧も続いている。中国政府のこうした姿勢に国際社会は
批判の声を強めるべきだ。
対外的には強引な海洋進出で周辺国と摩擦を起こしているが、国民の不満をそらすためにナショナリズムを高揚させようとしている
のなら見当違いだ。
中国の政治・経済力は事件当時に比べ、飛躍的に高まったが、政治改革が進まない限り、世界の信頼を得るのは難しい。
天安門事件を直視し、謙虚に学んでこそ、中国社会の新たな発展の道筋が見えてくる。
ソース(北海道新聞・社説) URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)